教えて!乳がんのこと 

バランスいい食事と適度な運動を

読者からの質疑応答=国府病院・副院長/山本晴大

2014/10/23

山本晴大先生

 質問/乳がんの再発を防ぐために食生活や生活面で注意することなどありますか。(豊川市赤塚町、E・Sさん)

 回答/メタボ対策で、高脂肪、高カロリーの食事を控えている方も多いことでしょう。そのような食事制限は、乳がんを予防する意味でも非常に効果的です。体内の中性脂肪が増えると、女性ホルモンであるエストロゲンの生産量が増えると言われていますが、これが乳がんの発症に深く関与していることが分かっているのです。

 がんを発症させる危険因子のひとつに活性酸素があります。これは細胞や体内の脂質を酸化させ、がんや動脈硬化などの生活習慣病の引き金になるといわれています。

 活性酸素を増やさないために有効なのが、食事で野菜を豊富に摂取することです。野菜には、活性酸素を増やさない抗酸化物質が豊富に含まれているのです(ポリフェノール、βカロチン、大豆イソフラボン、かんきつ系果物のフラボノイドなど)。

 大豆のイソフラボンは、女性ホルモン(エストロゲン)に似た働きをすると言われていますが、体内の女性ホルモンが多い場合には拮抗(きっこう)的に作用するために、乳がんを予防する効果があるのです。反対に少ない場合には、イソフラボンが逆にエストロゲン様作用を発揮し、乳がんを促進させてしまうのではないかという心配もありますが、通常の摂取量であれば問題ないと考えられています。

 また、オメガ3脂肪酸に、抗がん作用が期待できることがわかりました。これは、人間の生命維持に欠かせない脂質ですが、体内で合成できないため、食事から摂取する必要がある必須脂肪酸です(サバやイワシ、サンマなどの魚類、亜麻仁油、しそ油、大豆油、えごま、くるみ、大豆やきな粉、湯葉など)。

 過度のアルコール摂取やタバコも控えたほうが良いでしょう。

 運動不足による肥満が発がんリスクを高めることが報告されています。運動をほとんどしないという人では、体力に合った適度な運動を行うことは、全身の組織の血行を良くして新陳代謝を高め、ストレス発散や抑うつ状態から抜け出す手段にもなり、がんの発生や再発の予防に有益といえます。ただし、疲労やストレスの原因になるような過度の運動はマイナス効果になる可能性があります。

 ネットや紙面では乳がんに効く、治る、などと言った食事療法やサプリメントが多数ありますが、その根拠はほとんど証明されていません。特定のものに偏る食事法はかえってバランスを崩し、健康を損なうことがあります。結局のところ、バランスのよい食事と適度な運動で、健康的な生活を心がけるという基本的なことを継続することが一番だと思います。

2014/10/23 のニュース

山本晴大先生

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