教えて!乳がんのこと 

乳腺症と乳がんの違い

読者からの質疑応答=豊橋医療センター外科/岡本喜一郎

2014/10/30

岡本喜一郎先生

 質問/乳腺症と乳がんについて。乳腺症になる人は乳がんにかかりやすいですか。(豊川市音羽町、S・Nさん)

 回答/今回は乳腺症についてのご質問です。

 まず乳腺症についてですが、乳腺の疾患のなかで一番多く、症状としては、片側または両側の乳房の痛みやしこり、乳頭分泌(乳汁様、血性、無色)などの症状を伴います。

 30〜40歳代に多く、触診の特徴としては、つかむとしこりとしてわかるが、指腹で触知するとしこりがわかりません。

 生理と関連しており、生理が近づくとしこりが大きくなったり、痛みが出るようになり、生理が始まると症状が軽くなります。

 乳腺症は、女性ホルモン(エストロゲン)の過剰分泌によって起こるといわれており、ホルモンのバランスが崩れると乳腺の組織が変化(増殖と萎縮)し、乳腺症の症状が出てきます。

 外来を受診時、マンモグラフィと超音波の検査を受け、特徴的な所見がないか確認します。症状が軽度の場合は定期的経過観察を行うだけで、治療の必要はありません。痛みなどの症状が強い場合には、ホルモン療法を行う場合があります。

 続いて、乳腺症の乳がんへの移行が気になるところですが、原則的に良性疾患なので乳がんにはなりません。問題になるのは、乳がんとまぎらわしいものと、乳腺症と同時に乳がんができる場合です。しこりが触れる場合、乳腺症なのか乳がんなのか判断が困難なケースもあるので、専門医による精密検査をすすめます。診断目的で細い注射用の針で行う細胞診や太い針を使う針生検などをする場合もありますが、まず痛くない検査から行い、それで終了することが多いので安心して検査を受けましょう。

 乳腺症の大部分は、自然に症状が消失するため、基本的には経過観察可ですが、乳腺症の中でも乳がんに進展する可能性のあるタイプ(異型上皮過形成)は、がん化のリスクが2〜3倍といわれており、針生検などで診断された場合は、定期的な診察(半年か1年)が必要になります。

 気になる症状があったときには、専門医への受診をおすすめします。

2014/10/30 のニュース

岡本喜一郎先生

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