若い世代に未来を託す

豊川/東三温室園芸農業協同組合の挑戦

2017/07/25

 農業就労者の高齢化と後継者不足が問題視される中、生産者の若返りと施設の大規模化などで成果を上げている団体がある。豊川市下長山町の「東三温室園芸農業協同組合」だ。7月からの新年度の役員は、組合長を筆頭に理事なども若い世代を大胆に抜てきした。組合員らは先を見据え、年功序列ではなく若い人たちに未来を託す。

組合長は50歳、役員も30代から「消費者目線を大切に」意欲/品質プラス、アイデアと戦略に期待

 同農協は生産量全国2位の大葉部を中心に、農協単位では全国1位のハーブ部、菊花部などがある。それらの生産品は、JAあいち経済連の生産者追跡システム「あいちそだち」ブランドに名を連ねている。組合員は全員が豊川市内の生産者で、現在87人。高齢就農者と世代交代した若手が混在し、平均年齢にすると50歳。全体の生産者数は減少傾向にあるが、意欲のある40歳以下の青年部の人数が増加したことで、それぞれが施設規模を拡大。全体の販売高は2011年度の約30億円から16年度は約39億円と、5年間で9億円増加した。特に大葉とハーブは、料理の引き立て役から主役として消費されるようになったこともあり、大きく数値を伸ばしている。そんな中、同農協では将来の更なる発展を目指して本年度、リーダーたちの若返りに挑戦している。

 6月の通常総会で選任され、7月から新組合長となった寺部秀樹さんは50歳。組合長としては異例の若さだ。寺部さんといえば2年前、全国で1台しかない大葉自動計量包装施設を業者と共に開発して導入した立役者。通常手作業でしか行えない袋詰めを機械化。メーンの手詰めとは別枠で清潔でグレードが高い「プレミアム袋」という付加価値をつけて出荷し、好評だ。

 寺部さんは大葉農家の長男。農業には全く興味がなく、大学卒業後は東京などでマスコミや広告の仕事をした。転機は30歳の時。父親の死去後、長年切り盛りしていた母親を助けるために継ぐことを決心。知識ゼロからのスタートだったが、同農協の先輩や青年部の仲間たちが手取り足取り教えてくれて吸収。そのうち他職種の経験を生かした発想力で、新しい提案などをして農協に貢献するようになり、信頼を深めていった。

 寺部さんの良き先輩で、本年度から副組合長として寺部さんを支える深田博章さん(56)は「年齢は関係ない。僕らのように百姓の延長としてではなく、企業経営の感覚を取り入れて考えられる人。農協を良い方に導いてくれるだろう」と期待。また豊川市農業委員会の前会長で組合員でもある熊谷直克さんは寺部さんについて「あの子は組合の頭脳。あの子なら、みんながついて行く」と太鼓判を押す。

 寺部さんは「組合員が僕たちの若さを買ってくれた。理事のうち2人は30代、部長も30代や40代がいる。今までの組合像を破ってもいいというメッセージが込められているのだと思う」と受け止め、「自分のカラーを出しつつ、消費者の目線を大切にしていきたい」と意欲を語った。

 見るつまものから、香りや味を楽しむつまものへ。品質プラス様々なアイデアと戦略。今後も期待が膨らむ。

2017/07/25 のニュース

ハーブの生産量が増えたため、増設したばかりの冷蔵室の中に立つ右から寺部組合長、深田副組合長(東三温室園芸農業協同組合で)

大葉自動計量包装施設(同所で)

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