豊川/「朝的の儀」奉射弓披露、観覧者から拍手
2024/04/08
矢場で朝的の儀に臨む氏子の男たち(伊知多神社で)
豊川市市田町の伊知多神社で6、7両日、春恒例の大祭が開かれた。7日早朝は三河地方で唯一伝わる「朝的(あさまと)の儀」が執り行われ、地域の五穀豊穣(ほうじょう)や家内安全、無病息災を祈願した。
午前6時過ぎ、大祓祭を終えた白装束姿の氏子の男たちが矢場へ移動。朝日の光を浴びながら、魔よけの御神木を結んだ大的を射る神事に臨んだ。
男たちは梅干しや昆布、イカの干し物、お神酒を口にし、無言のまま三歩進んで振り返るといったしきたりを守り、最後は約20㍍の距離から弓で的を射る奉射弓を披露。矢が的に命中すると観覧者から拍手が起きた。
約500年の歴史がある朝的の儀は、県内では同神社と熱田神宮でしか行われていない珍しい神事。熱田神宮では歩射神事、御的(おまとう)と呼ばれる。
宮司の上島一朗さんは「コロナ禍も明けて平穏な日常が戻ってきた。市田の地域に幸せとご加護があるように粛々と伝統を守っていきたい」と話した。
午後の本祭では酒で泥酔した状態の男たちが獅子舞や鬼に扮(ふん)し、あめ玉をまく〝奇祭〟も行われた。