風針

 諸葛亮による蜀の南蛮征伐時、蜀軍は「藤甲軍」に苦戦する。藤甲とは藤の蔓に特殊な加工を施して編み上げる防具で、矢も剣も通さず、軽いので河に浮かべれば移動にも使えた。

 思案の後一計を案じた諸葛亮。藤甲軍を狭地に誘い込み、火を放ち焼き払ってしまう。戦の後に諸葛亮は「故事に曰く、水に利あるもの火に利なし」と語った。

 期待と不安を内包しながら社会に浸透するAI。現在、社会に利するのではなく犯罪を犯す側の強力な〝武器〟として問題化。対応も後手に回る。

 調べ物から人生相談まで、筆者の周辺でも「AIによれば」の声が目立つなか個人情報の流出を始め、海外では施設の温度管理システムへの〝攻撃〟にも影がチラつく。

 技術革新の恩恵は計り知れないが、共益に利あれど公益に利がなくては明るい未来は望めない。〝信頼〟と〝盲信〟は異なる。制御面に不安を抱えた〝人知を超える〟存在にどう歯止めをかけるのか―決断が急がれる。

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