風針

 農林水産省が公表した2024年の市町村別農業産出額で、田原市が6年ぶりに全国1位の座へと返り咲いた。5年間、畜産を主にした宮崎県都城市が1位だった。

 田原市は主力の花きが断トツの全国一を維持し、野菜も全国2位。野菜については、隣接する豊橋市が全国5位だった。東三河が農業の盛んな地域だということを改めて実感させる。

 もっとも、これは自然の恵みだけではない。1968年に通水した豊川用水の恩恵でいまがある。この一大事業を提唱したのは、田原市高松町出身で豊橋市長なども務めた近藤寿市郎。

 大正時代の海外視察で得た見聞をもとに壮大な水利構想を掲げたが、当時は冷ややかに揶揄されたと伝えられている。

 だが、その「ホラ」と笑われた信念こそが、今日の東三河を支える命脈を生んだ。困難な時代にあって未来のビジョンを描き、逆風を押し切ったリーダーの気概。現在を生きる私たちにも大きな示唆を与えている。

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