作家の川本三郎は2008年6月に35年連れ添った妻を食道がんで亡くした。子どもがいないのでそれから一人暮らしが始まった。
本を読む、映画を見る、音楽を聴く、町を歩く。一人ですることばかりだ。旅も大半は一人旅、これに、家事という新しい仕事が加わった。「独り居」のなかにささやかな喜びを見つけていきたいと心境をつづる。
国立がんセンター名誉総長の垣添忠生先生は2009年1月、妻をがんで亡くされ、回想記「妻を看取る日」(新潮社)を著した。先生は奥様が亡くなられたあと約3カ月、最悪の精神状態になり、酒びたりとなった。
大河小説「石狩平野」を書いた船山馨は覚せい剤のヒロポン中毒になり、看護師の資格を持つ妻・春子も同じ症状になり1981年8月5日朝、馨は亡くなり、春子もその夜亡くなった。
タヴィアーニ兄弟の傑作「太陽は夜も輝く」には「私たちの願いは夫婦、同時に死ぬことです」といった農民夫婦が登場する。
