風針

 もう10年、まだ10年―。蒲郡市で丹精込めてミカンを育てていた73歳の女性が殺害された事件は、今月10日で未解決のまま10年が過ぎた。時効が撤廃されたとはいえ、もどかしさは募る。

 10日は、女性の誕生日でもあった。遺族の長男夫婦は仏壇の前で、存命なら83歳になった母を思うという。

 事件後は「誰にも会いたくなかった」。それが3年前から、情報提供を求めるビラ配りに参加するようになった。そのころ知り合った高羽悟さんに大きな影響を受けたという。

 高羽さんも長らく未解決事件の遺族だったが、26年後、容疑者が逮捕された。「諦めないで」と他の遺族を励ましている。長男夫婦は「今度は私たちの番」と前を向く。

 警察への情報提供は減り、昨年はついにゼロ。しかし、今年になって1件、不審車の目撃情報が寄せられたという。「ささいなことでも、思い出したことを知らせてほしい」。捜査本部は呼びかけている。

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