風針

 フランスで開かれたカンヌ国際映画祭で、日本人が初の女優賞を受賞したと報じられた。作品は濱口竜介監督の映画「急に具合が悪くなる」。

 カンヌはほかの国際コンペに比べ、日本人と相性がいいような気がする。過去に最高賞「パルムドール」を受賞したのは5回。作家性を重んじ、配給力に左右されにくい土壌があるせいだろうか。

 今回受賞した岡本多緒さんが演じたのは、末期がんの演出家。記者も先日、母をがんで亡くした。まさに、急に具合が悪くなった。前日までせんべいをバリバリ食べて「あと10年は生きてやる」と大笑いしていたのに。あっという間だった。

 闘病中、最も知りたかったのは、同じ病と向き合った人の体験談だ。今作のあらすじを読むと、ともに女優賞に輝いたもう一人の主人公は、介護施設のあり方に悩む施設長だという。ますます興味が湧く。

 日本では来月公開という。封切りが待ち遠しい。

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