風針

 北海道の南西に突き出た渡島半島の西海岸日本海に面した古い港街を江差港という。今は寂れた港町に過ぎないが、三百年前の江戸時代にはニシン漁と日本海航路の北前船の交易で日本海一の港として繁栄を極めた。

 石高のない大名だった松前藩は蝦夷地のヒバ材、海産物、金山、アイヌの狩猟で成り立っていた。

 港町には花街が栄える。ニシン漁を支えた内地からの出稼ぎ人であるヤン衆、ニシン漁の親方衆、北前船の豪商たちで天保年間から飲食店、浜小屋が開業し始めて、ニシン漁が寂れる空前の活況を呈した。

 1926年、北海道桧山地方に生まれた松村隆さんは「江差追分節」は不思議な唄だという。北陸の港町で歌われていた唄を北前船の船乗りたちが伝え、今日まで歌い継がれている。

 花街や遊里は裏社会と言われ、町の歴史から埋もれているが、伝統文化の背景を担っている―という松村さんは「江差花街風土記―北前船文化の残影」を著した。

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