最近歌われることが減ったといわれるが、卒業式の定番曲といえば「仰げば尊し」。最後の歌詞「いざさらば」は、楽しかった学校生活に自ら終止符を打つ潔さが胸を打つが、本当は少し違う意味がある。
「さらば」は「さようなら」と同様、「左様であるならば」という接続詞を省略した言葉だ。ではなぜ、接続詞が別れの言葉なのか。
倫理学者の竹内整一氏によると、「さらば」「さようなら」と言って別れることで古い「こと」から決別し、新しい「こと」に立ち向かっていく心構えを表すのだという。
自分ではどうにもできないことがあってもありのままを受け止め、その経験を未来へとつなげようとする意思を「さらば」「さようなら」に込めている。
卒業は別れでもあると同時に旅立ちの時でもある。若者がそれぞれの先に延びる新たな道に踏み出す時、「いざさらば」は学園を懐かしむ歌詞ではなく、自らの力で未来を切り拓く決意の言葉となる。
