きょう豊橋空襲80年

語り継いだ記憶 次世代へ/体験者の「リアル」受け止めた若者たち

2025/06/19

空襲体験を語り継ぐ羽田光江さん

 1945(昭和20)年6月19日深夜から20日未明にかけて、豊橋市を襲った空襲。あの日から、今日でちょうど80年が経過した。

 豊橋市西羽田町の羽田光江さんは、国民学校2年生、7歳の時に豊橋空襲を経験した。「夜遅く、祖父に起こされて家の外に出ると辺りが火事で明るくなっており、多くの人が家の前を逃げていった。私は持ち出されたミシンの脚の部分に隠れるよう言われた」と思い出す。祖父はミシンに濡らした布団を幾重にもかけ、火から守った。「布団の周りを火の粉が駆け回って、ドンドン音がして、怖いどころではなかった。明るくなって外に出ると、辺りはすっかり焼け落ちており、その変貌に本当に驚いた」

 羽田さん今、市民団体「豊橋空襲を語りつぐ会」に所属し、多くの小中学校や地域の催しなどに招かれ、記憶を語り継ぐ。「戦争は日本で実際に起きたことだと、体験者が話すことで理解してもらえる。元気で話せる限りは伝え続けたい」

 豊橋空襲を語りつぐ会は1979年の結成以来、体験談の収集を続け、2冊の手記を発行してきた。追悼のつどいも毎年開催している。

豊橋中央高校の生徒の皆さん

桜丘高校の高橋さん㊧と舘さん

体験者の「リアル」受け止めたい。高校生の思い

 語りつぐ会が主催する「豊橋空襲犠牲者を追悼し平和を誓うつどい」には毎年、豊橋中央高校と桜丘高校の生徒有志が参加している。豊橋中央高校では、平和学習として羽田さんら体験者の話も聞く。今年、体験者の話を聞いた2年の権田希皇(ねお)さんは「調べる情報と違って、語られる話は怖さが伝わりリアル。今の平和が当たり前でないことを後輩や次の世代に伝えたい」と話す。

 桜丘高校3年の高橋梨姫(りな)さんと舘一輝さんも「実際に見たもの、聞いた音、感じた熱を話してもらうことで、戦争を実感できる。この体験を風化させてはいけない。日常の中で伝えていきたい」と力を込める。

 体験を語る人と、聞く若者たち。戦争体験のバトンは、80年の時を超えて次代に渡されようとしている。戦争を知らない世代が今後どう伝えるかが問われる節目の日に、体験者も若者も追悼の祈りを捧げている。

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