多様な事情抱える生徒受け入れ

注目集める御津あおば高校/〝専用直通ルート〟充実の高校生活を送る小林千夏さん

2025/06/22

充実した高校生活を送る小林千夏さん(豊川市内で)

 多様な事情を抱える生徒が通うフレキシブルハイスクールとして豊川市の県立御津あおば高校が注目されている。今春入学した市内在住の小林千夏さん(15)は常に介助を必要とする身体障害者だが、柔軟な教育環境に充実したスクールライフを送る。

 2歳の時に患った脊髄炎で肩から下が動かない千夏さんは、両親の支えもあり女子高生に成長した。「(アイドルの)Snow Manが好きなJKです」と笑顔で自己紹介する。

 学校ではほかの生徒と同じ教室で過ごす。支援員2人が曜日ごとに交代で付き添い、授業中は教科書のページをめくってくれる。千夏さんは口に鉛筆をくわえて字を書けるため鉛筆の受け渡しや、昼食やトイレの介助も受ける。スクールナースも2人曜日ごとに交代で来校し、体温調節やバイタルチェックをしてくれる。

 常に電動車いすで移動する千夏さんは、両親の車の送迎で来校すると学校側の配慮で用意された〝専用直通ルート〟を通る。ほかの生徒とは異なる出入り口から入り、階段に設置された昇降機を使って教室へ向かう。体育館や校庭で行う体育の授業はリモートでつなぎ、教室にいたまま学ぶ。「友達とも仲良くて、みんな助けてくれる。楽しい環境で、本当にこの高校に入れて良かった」と話す。

 県立高校のため支援員らへの報酬は交付される補助金で賄えるため、費用面での負担は少ないが、家族としては改善してほしい点が多い。市と県で管轄が変わる関係で、中学校からの支援員らの継続的なサポートは不可能。入学先が決まってから新たな支援員らを探す必要がある。小林さん一家も十分な人員が確保できるまでの約2カ月間は両親が授業に付き添う日もあった。

 千夏さんも両親に任せきりではない。改善を訴える〝口書き〟の手紙を大嶽理恵衆院議員に送ると、国会質疑で取り上げてくれた。「学校にエレベーターがあればもっと楽になるし、私みたいな人も安心して入学できると思う」と願う。父正英さん(44)も「支援員やスクールナース、先生など素晴らしい方々に恵まれているけど、娘と同じような子たちのためにも声を上げていきたい」と話す。

 地理や歴史など社会科が得意で、英検3級を取得した千夏さんには夢がある。豊川署での職業体験を機に「障害者雇用もあり、事務作業などをする警察職員になりたい」とあこがれる。そんなまな娘を、両親が頼もしそうに見守っている。

千夏さんが口書きで大嶽衆院議員に送った手紙

2025/06/22 のニュース

充実した高校生活を送る小林千夏さん(豊川市内で)

千夏さんが口書きで大嶽衆院議員に送った手紙

有料会員募集

今日の誌面

有料会員募集

東日旗

きらり東三河サイト

高校生のための東三河企業情報サイト

連載コーナー

ピックアップ

Copyright © TONICHI NEWS. All rights reserved.

PAGE TOP