豊橋で推進派シンポジウム/新アリーナ事業者が市民へ説明
2025/06/21
豊橋ネクストパークの構成企業が登壇したシンポジウム(豊橋市公会堂で)
豊橋市の多目的屋内施設(新アリーナ)計画の事業継続の賛否を問う住民投票を前に、計画に賛成する市民団体「新アリーナを求める会Neo」主催のシンポジウムが19日夜、市公会堂であった。契約先の特別目的会社(SPC)「豊橋ネクストパーク」が登壇し、30年の運営期間の経済波及効果が約1100億円にのぼるとしたほか、地元からの不安の払拭に努めた。
SPC代表企業のスターツコーポレーション(東京)の平出和也常務執行役員はこの中で、メインアリーナでプロバスケットボールチーム「三遠ネオフェニックス」のホームゲームを含めたプロスポーツやコンサートなどを年間80日、スポーツ大会などの一般利用を同60日、展示会など地域イベントを同20日、計160日の稼働予定を説明。これらをもとに運営する30年間で約1100億円の経済波及効果が見込まれるとした。
総事業費の約230億円の全額を整備費に振り向ける理由について「グレードの高いアリーナを造ることで、維持管理費相当分をスポーツや興行で得る収入で賄っていける」との見通しを示した。
司会者から赤字になった場合の撤退の可能性を問われると「短期的にうまくいかなくなったから、店じまいとは毛頭考えていない」と否定。「コンソーシアム企業が一体となり、30年間にわたり逆風のときも支え続ける覚悟でこの事業に手を挙げている」と語った。
一部の市民から出ている交通渋滞への懸念に、平出氏は地元商店街と協力し徒歩での来場者にクーポン券を配るほか、路面電車(市電)の増便に関する相談や、まちなかに約3400台分ある駐車場の利用を市や民間と協議する考えを示した。公園駐車場では、予約制や料金変動制の導入を検討しているとした。
長坂尚登市長が契約解除手続きを進める中、平出氏は「もともとの契約に基づいた解除はできない」との認識を示した。賠償額については「一般論として契約金の一定の割合と認識しているが、ここでは数字の話は差し控える」と述べるにとどめた。
平出氏は「市民に大きな投資をしてもらうので期待を裏切ることなく30年間、着実に事業を進める。30年後『あのときアリーナができたおかげだね、公園やまちが良くなったね』と言ってもらい、次の30年も楽しみと感じてもらえるよう未来に向けて全力で取り組んでいく」と表明した。
シンポジウムでは、スポーツ経営で数々の実績を残してきたラグビーリーグワン、静岡ブルーレヴズの山谷拓志社長が講演し、プロスポーツで地域活性化に成功した全国各地の事例を紹介し「今アリーナを造らないと乗り遅れる」と警鐘を鳴らした。
住民投票は、今夏の参院選と同日に実施される。