風針

 近親者だけで行う家族葬。コロナ禍を経て、今や5割を超える人に選ばれているらしい。しかし、その料金を巡ってはトラブルが絶えないという。

 道端に立つ葬儀社の看板には「●円から」とあるが、実際にはその2倍、3倍、4倍になることも珍しくないようだ。

 例えば、美しい布張りの棺(ひつぎ)が流行しているようだが、カタログで並べられると、確かに木目がむき出しの棺は、どこか見劣りしてしまう。もっとも、参列者はそんなこと気にしていないのだが。

 身内の死のショックも冷めぬうちに業者との打ち合わせに臨み、金のことばかり考えていると情けない気持ちになる。その心理も影響して、結局は想定以上の出費になるのだろう。

 誰もが健康なうちに、好奇心半分で見積もりを取っておくのがよいのではないか。気が進まないのは当然だ。それでも、やはり―と思う。死について考えることと、今を懸命に生きることは、決して別ではない。

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