風針

 ある朝、ラジオから「蝉時雨が聞こえた―」とリスナーからの投稿が紹介された。翌日、会社で同僚から「蝉が鳴き始めた」と聞き、そして昨日筆者も蝉時雨を耳にした。

 シャンシャンと賑やかな大合唱。でも、蝉たちにとってまだ〝試運転〟といった具合で〝合唱団〟の数も少なく、盛夏の頃のような圧倒感はまだ感じられない。

 週明けにも梅雨明けが予想される中、空を見上げればいつの間にか空の青は濃さを増し、雲もどっしりと浮かぶ。もう少し季節が進めば〝合唱団〟も規模を拡大していくだろう。

 ただ、グングンと気温上昇。30度超の声が各地から届く中、個人的にも要注意なのだが暑さで心理的にイライラが募り、人当たりもトゲトゲしそうで心配だ。

 夏の象徴でもある蝉時雨。疲れた時に木陰で耳を傾ければ、騒々しさだけではない心緩む感覚を味わえることもある。「閑さや岩にしみ入る蝉の声」(松尾芭蕉)。心ざわつく時、静かに耳を傾けてみよう。

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