風針

 春は出会いと旅立ちの季節。新年度の喧騒(けんそう)も落ち着きを見せ始めた4月下旬、新たな出会いがあったり、スタートを切ったりした人も多いことでしょう。

 少し前のことだが、今年の成人式取材で一人の受験生と出会った。浪人生という立場を気にしていたようだが、大学を目指す志はしっかり持っていた。高校を中退した受験生の彼は、自身が高校を辞める原因となった病気を研究したいと大学受験に臨んだ。

 先日、彼が通っていた学校を通じて「合格」の吉報を聞いた。わずかな時間、取材で知り合った彼だが、喜ぶ姿が目に浮かび、こちらもうれしく、温かな気持ちになった。

 一方で、思うような結果を得られず、沈んだ気持ちでこの春を迎えた受験生やその家族がいるのも現実。

 だが、長い人生を俯瞰(ふかん)すれば、若いうちの数年の足踏みは決して「遅れ」ではない。むしろ、後の人生を支える貴重な経験となるはず。

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