蒲郡市の西浦半島には、かつて麦畑が広がっていたという。いまは産地の面影はないが、数年前から小学生たちが遊休農地で麦づくりに挑んでいる。
指導するのは米国出身のクレッグさん。町内で地ビール醸造所を営む。西浦の「ヘブンさん」よろしく、地元では知られた顔らしい。姓のモーリーを漢字に置き換え、「森」と名乗っている。
先月、小学生たちが種まきをした。事前にクレッグさんはトラクターでダイナミックに土を耕した。地元のシニア男性たちでつくる「男遊会」がにこやかに見守った。「昔は、くわで耕したもんだ」と目を細めていた。
高齢化率の高い静かな町で、外国人が受け入れられるまでには少なからず時間がかかったと想像される。
来年2月には畑で「麦踏み」がある。再び子どもたちが活躍するだろう。クレッグさんは「次はもっと働いてもらう」と「男遊会」メンバーにハッパを掛け、いたずらっぽく笑ってみせた。
