循環型経済実現目指す/ハウス栽培で実証実験始まる/蒲郡市
2024/02/22
会見に臨む(右から)松井徹・日本特殊陶業副社長、鈴木市長、竹本社長、神田仁志・新東通信取締役=蒲郡市民会館で
脱炭素化対策に取り組む蒲郡市で、工場から出た二酸化炭素(CO2)を特産ミカンのハウス栽培に生かす実証実験が始まった。21日、鈴木寿明市長と参加する企業などが市内で記者会見を行った。
実証実験を行うのは、市と、市内のごま油メーカーの竹本油脂、日本特殊陶業(名古屋市)、広告会社の新東通信(東京都中央区)の4者。「地域CCUプロジェクト」と銘打ち、CO2の再利用を通じて、廃棄物を出さないサーキュラーエコノミー(循環型経済)の実現を目指す。
ほかにオブザーバーとして、県農業総合試験場や豊橋技術科学大(豊橋市)、中部共栄運輸(蒲郡市)が加わる。
鈴木市長は会見の冒頭「サーキュラーエコノミーは、企業や関係団体の協力があってこそ実現できる。市が中心になって取り組みを世界へ広めたい」と意気込んだ。
竹本油脂では、ゴマを煎(い)る過程で出るCO2の削減が課題になっていた。一方、ミカン栽培ではハウス内のCO2濃度を上げると光合成が進み、作物の生育が促進される効果があり、現状は灯油を燃やして発生するCO2を利用している。工場から出たCO2を再活用すれば、温室効果ガスの削減が期待できる。
実験では、日本特殊陶業が自社技術で、ごま油工場のボイラーからCO2を回収、流通用のドラム缶にためて市内のハウスへ提供。ハウスではミカンの木3本を栽培し、育成、評価を行う。
竹本油脂の竹本元泰社長は「プロジェクトはカーボンニュートラルの一つの解答になるのでは。市内に本社を置く企業として、持続可能な社会づくりのため、積極的に取り組みたい」と抱負を述べた。
日本特殊陶業・カーボンリサイクル課の田中貴史さんは「再活用できる量を増やすため技術開発を進めたい。地域の皆さんと場を作りだし、実装化を目指す」と話した。