教えて!乳がんのこと 

術後少しずつ積極的に腕を動かす

読者からの質疑応答=豊川市民病院乳腺内分泌外科/三田圭子

2014/10/16

三田圭子さん

 質問/術後、日常生活上の留意事項などありましたら教えてください。(田原市加治町 H・Kさん)

 回答/まずは、手術した側の腕のリハビリを積極的にやっていきましょう。受けられた手術によって、状況は多少異なりますが、いずれの場合も基本的には少しずつ積極的に動かしていく必要があります。動かさないでいると、肩まわりが固くなって、より動かしにくくなり、そうなると動かすのに痛みを生じてまた動かさない、という悪循環になってしまいます。主治医の先生の指示に従って、入院中を含めた術後早期から行うことが最も重要です。

 退院後も、洗濯物を干すなど、腕を上げる動作を家事の中で進めていくとよいでしょう。腋窩(えきか)リンパ節郭清を受けた方は、それに加えてリンパマッサージをできるだけ継続して行うとよいと言われています。

 これに対して、控えた方がよいこととして、とくに腋窩リンパ節郭清を受けた方は、リンパ浮腫(しゅ)を起こさないように心がけてください。手術した方の腕のけが、虫刺され、日焼けをしないようにする、腕に食い込むようなかばんや装飾品、ゴム袖などは避ける、重いものを長時間持たない、血圧測定や採血などを受けないなどです。これらをきっかけにリンパ浮腫を発症することがあるからです。一度発症した浮腫は改善しにくくなることがあります。

 郭清を受けていない、センチネルリンパ節生検だけの方はリンパ浮腫は起きにくいとはされていますが、起きないわけではないので、注意するに越したことはありません。

 よく「どのくらいの重さの物なら持っていいのか?」と聞かれますが、明確な答えはありません。しかしペットボトルやお米といった重いものをかごに入れて腕で持つよりは、カートを利用するなど、日ごろの工夫は必要です。また、いつまで気をつけていなければならないか、とも聞かれますが、残念ながら今後ずっと気をつけていただかなければなりません。大掃除などでがんばって腕を使いすぎたなと思う日は、マッサージをしたり、腕を高くしたり、腕を休ませてあげてください。

 術後の下着についてもよく質問をいただきます。乳房切除(全摘)を受けられた方のための下着をはじめ、下着メーカーも、術後の状況に応じた下着を販売していますので、ホームページやパンフレットを参考にされるとよいと思います。

 今までの下着に戻すタイミングも決まったものはなく、ワイヤーなど当たって痛くないなど、ご自身に不快がなければいつ変更しても傷などには問題ありません。

 生活面で注意することは、何よりも肥満にならないことです。肥満の方の乳がん死亡リスクが高いということがわかっています。適切なカロリー摂取と運動により肥満を避けるよう心がけてください。

2014/10/16 のニュース

三田圭子さん

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