教えて!乳がんのこと 

発症リスク上げるホルモン補充療法

読者からの質疑応答=まつおクリニック/院長・松尾康治

2014/10/17

松尾康治先生

 質問/更年期でホルモン補充療法を行っています。乳がんのリスクが上がると聞いたのですが、やめた方がいいですか。(豊橋市つつじが丘、M・Mさん)

 回答/更年期には、卵巣機能が衰えるために女性ホルモンが急激に減少します。このホルモンのギャップが更年期症状を起こします。ホットフラッシュ、倦怠(けんたい)感、イライラ感などの症状です。ホルモン補充療法はこのギャップを埋めることで症状を緩和させる治療法です。ところが、高い濃度の女性ホルモンが長期間作用すると、乳癌(がん)の発症リスクが高まることが分かっていますので、ホルモン補充療法を受けるには注意を要します。


 さて、更年期のホルモン補充療法には、2つの方法があります。1つは、エストロゲンとプロゲスチンを併用する方法です。この方法では、長期間行うと、少しですが、乳癌の発症リスクが高まるという報告が増えてきました。しかし中止すれば、リスクは低下するとも言われていますので、症状のひどい期間だけの数年間ぐらいなら心配ないと考えられます。しかし、長期間(5年以上)続けていると乳癌発症のリスクが高まる可能性があります。この場合は、メリット(症状緩和)デメリット(乳癌リスク上昇、血栓症など)を勘案すべきですので、担当の婦人科医に相談した方がよいでしょう。

 もう1つの方法は、エストロゲン単独療法です。この補充療法では、子宮切除を受けた女性の場合、乳がんの発症リスクは低下するとの報告があります。理由はわかっていません。しかし、逆にリスクが増加するとの報告もありますから、単独療法の適用も慎重さを要します。

 どちらも乳がん術後の方には適応がありません。

2014/10/17 のニュース

松尾康治先生

有料会員募集

今日の誌面

きらり東三河

東三河学生就職NAVIリクルーティング

東三河学生就職NAVIリクrooting2025

高校生のための東三河企業情報サイト

連載コーナー

ピックアップ

Copyright © TONICHI NEWS. All rights reserved.

PAGE TOP