日本の鑑識技術伝授

豊川市の元県警職員・鈴木亨尚さん/カンボジア治安回復への一助に/PKO活動中死去 高田晴行さん三十三回忌に合わせて

2025/05/18

実演しながら日本の鑑識の技術を紹介する鈴木さん㊥(提供)

 豊川市の元県警職員、鈴木亨尚さん(64)が先月末から2週間カンボジアに滞在し、現地の警官に鑑識の技術を伝授した。PKO(国連平和維持活動)活動中に殺害された高田晴行さんの三十三回忌に合わせた活動。カンボジアは特殊犯罪や闇バイトの拠点になっており、日本の捜査技術が治安回復につながることが期待される。

 鈴木さんは33年にわたり捜査鑑識業務に携わり、多くの現場に臨場。名古屋市の中村署をはじめ、東三河では豊橋署や新城署に勤めた。

 4月24日から今月8日までの滞在中、カンボジア北西部シェムリアップ市で現地の警官らにセミナーを開き、事件・事故現場の指紋や足跡の採取方法を薬品や道具を使って説明。「採取の前提となる現場保存が一番重要」と強調した。

 2001年にJICA(国際協力機構)専門家として同国に派遣され、当時知り合った元群馬県警でカンボジア大使館勤務の経験がある櫻井誠さん(63)の依頼で赴いた。櫻井さんが同地でPKO活動に従事していた1993年、ゲリラの襲撃で亡くなった同僚隊員の高田さんの法要に合わせた取り組み。カンボジアの治安改善を願う高田さんの遺志を継ぎ、日本と同様に交番制度を導入して事件事故への即応体制を整える計画が進んでおり、鈴木さんも賛同した。

 東南アジア各国は日本で社会問題となっている特殊詐欺や広域強盗事件の犯行組織の拠点となっており、カンボジアでも加担していた日本人が摘発された。鈴木さんは「アジアの治安が良くならないと日本も安全にならない。誰でもできることではないので、貴重な経験をさせてもらった」と話している。

現地の大勢の警官らが鈴木さん㊧の技術を見て学んだ(同)

【自衛隊カンボジア派遣】 

 ポル・ポト独裁政権による市民弾圧や中国、ベトナムを巻き込んだ70年代からの内戦で混乱。国連の要請で陸上自衛隊が92年9月から派遣された。翌年5月、タイとの国境付近でパトロール中だった日本人5人の乗る車がポル・ポト派の武装集団に銃撃され、当時33歳の高田さんが死亡した。

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実演しながら日本の鑑識の技術を紹介する鈴木さん㊥(提供)

現地の大勢の警官らが鈴木さん㊧の技術を見て学んだ(同)

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