オオタザクラの「分身」開花

成章高校同窓会長方で/関係者「同窓生の絆強まった」/OBで日本植物画家・太田洋愛が発見―後輩取り持ち岐阜県から記念植樹

2024/04/30

成章高校同窓会の石黒功会長方でオオタザクラの花が咲いた。高校に記念植樹されたサクラの分身にあたる(16日撮影、提供)

 岐阜県の寺でOBが見つけその後輩が取り持ち、3年前に母校がある田原市の成章高校で記念植樹となったオオタザクラの「分身」からこの春、花が咲いた。桜の季節は終わったものの、学校関係者はサクラを通して「同窓生の絆が強まった」と喜んでいる。

 ■シンボルの一つ

 分身から花が咲いたのは、市内田原町の成章高校同窓会の石黒功会長(71)方の庭にある1本。3年前の3月、岐阜県白川村の本覚寺のオオタザクラを高校に記念植樹する際、石黒会長は、専門業者に頼み枝払いをした木の一部を接ぎ木にしてもらい、園芸業者の管理を経て昨年秋に、その苗木を植えた。

 高さは約2・5メートル。花芽が今月11日に膨らみ、2輪が5日後に開花した。その後も1輪、2輪と覆われた緑の葉から顔をのぞかせ、月末までの約10日間で10輪ほどが咲いた。

 高温に弱く、温暖な渥美半島では育ちにくいと専門家から聞いていただけに咲いた時、うれしかったという。

 ほかの分身約20本も同窓会役員や学校関係者に配った。生育状況が気になり、数人にメールで開花時の写真を送ると「つぼみが膨らんだ」と返信が届いた。最終的に咲いたか確かめていないという。

 温暖化が進み環境も悪化するとみられるが、「同窓生同士をつなぐシンボルの一つとして大切に育てたい」と話した。

 ■代行を担う?

 母校OBで日本植物画の先駆者である太田洋愛(1910~88年)が本覚寺でサクラの新種を見つけ、オオタザクラと命名された。この後、この地を訪れた後輩がこの経緯や、高校に植えられていた「先代」のオオタザクラが元気を失ったことを知って譲ってもらい、ほかの同窓生との連携で高校の創立120周年記念事業の一つとして記念植樹にこぎつけた。高校のオオタザクラは同窓生の間で「絆ザクラ」とも呼ばれている。枯れた場合、分身が役割を担うとの思いもある。

 2021年3月の記念植樹から3年を経た成章高校のオオタザクラは、10日ごろから咲き始めた。すでに葉ザクラとなったが、高校OBの林哲志教諭は「花はこれまでで最も美しかった」と絶賛した。

 生育状況を写真に撮り、同窓会のホームページで「桜だより」としても紹介している。今年のサクラについて13日に開花を確認した薄い、白に近いピンクの花は19日、少し色付いて、濃い色になっていたと伝えている。

キーワード「オオタザクラ」

淡紅色の八重桜。花弁の多いものは90枚を数え、めしべは15~20本ある。岐阜県白川村の本覚寺境内で植物画家の太田洋愛さんが1969年に見つけた新種。発見者にちなんで命名された。1本が県、もう1本が村の天然記念物に指定された。5月前半の連休ごろが見ごろ。別の1本が成章高校に植樹された。

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成章高校同窓会の石黒功会長方でオオタザクラの花が咲いた。高校に記念植樹されたサクラの分身にあたる(16日撮影、提供)

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