技科大ロボコン「連覇へ」《Ⅵ》

ライバル㊦/中国「底知れぬ強さ」/香港「トップレベルでの経験豊富」/ベトナム「ローテクでも限界値引き出す」

2024/05/06

オンラインで開かれた2022年のABU大会(豊橋技術科学大学で)

 NHK学生ロボコンを勝ち抜くと、世界への道が開かれる。今年のABUロボコンは8月25日にベトナムで開かれる。今年も中国、香港、ベトナムに日本を加えた「四強」が優勝争いの中心になりそうだ。2022年と23年のABU大会に出場した、豊橋技術科学大学ロボコン同好会代表の今野麟太郎さん(博士前期課程2年)と廣本一真さん(同1年)に、海外勢の強さについて聞いた。

 ◆中国

 ABUロボコン優勝5回の強豪国。オンラインで開かれた2022年大会では、予選リーグで技科大に勝利した。

 今野=昔から強かったが、ロボマスター(中国で開かれるロボット競技会)の始まった頃(2015年)から、さらに技術力が上がった。ロボマスはロボコンより格上の大会で資金も多く規模も大きい。その技術がロボコンに流れている。

 廣本=大学内での競争も激しくて、ロボコンに出る学生は「二軍」って聞いた。

 今野=中国の底知れぬ強さを感じるね。大学の数も多くて、国内大会は3試合やって2勝しないと勝ち上がれないので、本当の実力がないと勝ち抜けない。

 廣本=国際大会では国の威信を背負っている感じがして、勝利に対する執念もすごい。

 今野=ロボコンの成績が就職にも関係しているらしく、人生もかけてくる。

 廣本=ただ、この10年ぐらいはABUで優勝していない。

 今野=技術力は高いが、試合でロボットが動かなくなるっていうのが多い。

 ◆香港

 19年と22年のABU大会を制覇。22年の予選リーグで技科大に勝ったが、23年は技科大が決勝で雪辱し優勝を決めた。

 廣本=中国とは対照的にロボコンを楽しんでいるイメージ。機械が専門じゃない学生もたくさんいるらしい。香港は大学が少なくて、香港中文大学の一強状態。

 今野=中文大はABU大会に出場しやすい状況にあって、トップレベルでの経験が多いことが強みになっている。

 廣本=最近技術力が上がっていて、他大学との交流にも意欲的。去年の暮れには豊橋にも来て同好会と交流した。楽しみながら技術も上がり、卒業してもいい会社に就職していて、ロボコンの理想郷だ。

 ◆ベトナム

 ABU大会の最多優勝国(7回)。しかし18年以降は優勝がなく、昨年の大会では再試合となった準決勝で技科大に敗れた。

 廣本=古いローテクをうまく使いこなしている。ロボットの限界値を引き出すのって難しんだけど、それが出来ている。最小限の単純な機能だけのシンプルなロボットを作ってくる。

 今野=ロボコンがうまいっていう印象。選手の動きも無駄がなく洗練されている。ローテクでもこれだけ強いのに、さらにハイテクが加わればもっと強くなる。

 廣本=恵まれているとは言えない環境で100%の力を出し切っていて、タフでたくましい。日本も学ぶところがある。

 ◆大会予想

 2024年の学生ロボコンはルールが複雑化し、対戦相手との駆け引きもある自動化も要求された。高度化した今大会はどう展開するか。

 廣本=高度で複雑な技術を使おうすると、トラブルが発生して自滅するリスクがある。意外とローテクで泥くさい戦い方が強そう。

 今野=そういう意味でベトナムに注目。開催国でもあり2チーム出られるのも有利だ。国内では、金沢工大や東京工科大の戦いぶりを見たい。

 廣本=豊橋技科大も複数の戦い方を準備していると思うが、優勝するには、いろんなケースを想定した練習も大事になる。

2023年のABU大会はカンボジアで開かれた

ロボコン同好会22年代表の今野さん㊧と23年代表の廣本さん

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オンラインで開かれた2022年のABU大会(豊橋技術科学大学で)

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