桜の季節 

八村との「戦」い(後編)

第4章 63回

2020/05/24

今でもあの瞬間の熱狂がよみがえる

 2015年・夏。あの時の京都は本当に暑かったと記憶している。連日、会場は満員御礼で立ち見客が出るほどの大盛況。会場に入りきらない観客がサブ・アリーナの大型モニターで試合を観戦した。

 桜丘は、シード校で2回戦から登場した。序盤は気負い過ぎて選手たちの動きが硬くなった。10点を追いかける不本意な展開だったが、後半には平常心を取り戻して桐光学園(神奈川)に逆転勝ち。

 東海大第三(長野)戦では高橋理輝がケガの影響を見せない強気な姿勢で、チームを勝利へ導いた。準々決勝では能代工(秋田)を撃破した。あの試合は、鈴木空の活躍がなければ負けていたかもしれない。「能代カップで敗れた悔しさが力になった」と後に語っている。コートサイドで見ている筆者は、ドキドキとワクワクで特に楽しかった。

 準決勝では、地元・京都の大応援団を背負う東山と対戦した。この試合は、やっぱり言葉より映像を見た方が良いだろう。桜丘バスケ部史上でトップ3に入る好試合だ。

 そして、八村塁の明成(宮城)との再戦を迎えた。結果だけ見れば完敗、だが、何度突き放されても粘り強く反撃する選手たちの姿は、筆者の目に深く焼き付いている。

 江崎悟監督は「勝つための十分な対策ができなかった。この悔しさを忘れず次こそは絶対に勝つ」と話していた。

 あれから5年、あの瞬間を桜丘は超えていない。今後も超えられるかは分からない。

 試合が終わり、取材で走り回って必死に原稿を書いた。帰り際、すべてが撤去されて誰もいなくなったアリーナのコートを撮った写真が、今も筆者のスマホに、大事に保存されている。私の宝物だ。

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