木製バットを使うワケ

桜丘高野球部が独自練習法

2020/06/01

木製バットを手に打撃練習を行う選手たち(桜丘高校グラウンドで)

 桜丘高校のグラウンドに活気が戻ってきた。部活動休止が明け野球部も練習を再開し、選手たちは声を掛け合い、最後の夏へ決意を新たにしている。ただ、打撃練習では「カキーン」という快音が響いてこない。高校生では珍しい「木製バット」を使っているからだ。杉澤哲監督に桜丘野球部独自の練習法を聞いた。

バットの芯で確実ミート/意識持って打ち返す技術学ぶ

 新型コロナウイルス感染症の拡大を受けて夏の甲子園が中止となり、愛知県高校野球連盟は県独自大会の開催へ準備を進めている。東三河地区でも各チームが3年生を中心に、約1カ月後に迫った最後の夏へ向けて少しずつ動き始めた。

 今年の桜丘は、長打力のある杉浦貫太と森雄規が中軸を担う打撃のチームだ。昨秋は、東三河予選で1次リーグ戦を全勝突破し、2次トーナメント準優勝、県大会2回戦で敗れるまで、無得点で終わった試合はない。

 その打撃力を支えているのが「木製バット」を使った練習法。桜丘では、打撃練習で主力選手が必ず木製を持って打席に立つ。選手たちも当然のように、木製に持ち替えている。

 木製バットはプロ野球や社会人、大学で使われ、高校野球や少年野球は金属バットが用いられる。金属バットは、木製バットに比べて鋭い打球になり、飛距離も伸びる。また、効果的に力を伝える部分が広く、非力な選手でも軽くミートしやすい特徴がある。

 高校野球で金属バットに慣れた選手が木製バットに持ち替えると、その違いに戸惑い活躍できない場合もあるという。

 杉澤監督は、木製バットを使う理由として「うちはグラウンドが狭いから」と笑ったが、選手たちへの期待を込め「木製バットで外野を越す鋭い打球を飛ばすのは簡単ではない。バットの芯で確実にミートしなければ、ほとんどが凡打になってしまう。毎日の練習で高い意識を持って、しっかり打ち返す技術を学んでほしい」と話した。

 甲子園常連の強豪校に比べて、桜丘は決して恵まれた練習環境とは言えない。そんな中で、自分たちにできることを探りながら、大きな目標を目指している。

 取材した日も、桜丘高校のグラウンドでは低くて鈍い打撃音が鳴り響いていた。

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