つかめなかった勝利の瞬間

高校野球/桜丘高校/終盤に疲れと緊張 総力戦で力尽きる/「選手はよくやってくれた」と感謝伝える

2020/08/10

桜丘はオール3年生で最後まで戦い続けた(岡崎市民球場で)

 8回表で7点をリード、桜丘の4強進出はほぼ確実かと思われたが、それまで抜群の安定感を見せていた投手陣が突如崩れ、延長10回にまさかの逆転サヨナラ負け、勝利の女神はほほ笑まなかった。

 夏季愛知県高校野球大会は、再抽選で東三河代表の桜丘を含む8校の組み合わせが決まり、3日間で決勝までを戦う大詰めを迎えていた。

 昨夏、次々と強豪校を撃破し決勝へと勝ち上がった桜丘にとって、今夏は快進撃の再現が期待されており、杉澤哲監督とオール3年生の選手たちは、特別な決意を胸に激しい熱戦を繰り広げてきた。

 8日、岡崎市民球場で愛産大工と対戦した準々決勝。桜丘は先発の小久保颯真が「過去最高」と語ったほど見事な投球で、相手打線に付け入る隙を与えず、7回までノーヒットを続けた。

 初安打を許すまで投球数わずか83球で6奪三振。杉澤監督も「早く1本打たれた方が、気持ちは楽になったかもしれない。終盤、選手たちは疲れと緊張で動きが硬くなってしまった」と話した。

 8回表に杉浦貫太の走者一掃三塁打など一挙5点を奪ったこと、小久保が走者として長時間塁上にいたこともあり「次の回がちょっと心配だった。嫌な予感はしていた」と、4連打を浴びた突然の乱調を危惧していた。

 それでも、9回に追いつかれ1死満塁の大ピンチに、3番手で登板した河口夏輝が好守備にも助けられ、延長タイブレークへ持ち込んだ瞬間は、選手たちの表情に輝きが戻った。

 総力戦で粘り強く戦う桜丘は、10回に藤野翔多の犠飛で1点を挙げると、続く杉浦貫太が意地の二塁打で追加点。再び試合の主導権を握ったかと思われたが、最後は連打で逆転を許して力尽きた。

 杉澤監督は「選手たちはよくやってくれた。甲子園が中止になって、気持ちを整えるのは大変だったと思う。今は『ごくろうさん』と伝えたい」と述べた。

 藤野主将は「チームが始まったばかりは力がなく不安もあったけれど、みんなの団結力で勝ち続け強い絆になった。監督やコーチ、両親への感謝は言葉では言い表せない。このメンバーで野球ができて良かった」と3年間を振り返った。

 小久保は「最高の仲間に出会え、厳しい練習を一緒に乗り越えられた。厳しい言葉もあったが、支えてくれた人に『ありがとう』と言いたい」と感謝した。

2020/08/10 のニュース

桜丘はオール3年生で最後まで戦い続けた(岡崎市民球場で)

有料会員募集

今日の誌面

きらり東三河

東三河学生就職NAVIリクルーティング

東三河学生就職NAVIリクrooting2025

高校生のための東三河企業情報サイト

連載コーナー

ピックアップ

Copyright © TONICHI NEWS. All rights reserved.

PAGE TOP