豊橋市まちなか図書館 種田館長の対談企画好評
2025/05/20
「ビューティーツーリズム」とはなんですか?その提唱者の大岡代表をゲストに対談する種田さん㊧(まちなか図書館で、提供)
新たな出会い、利用者の居場所づくりを目指す豊橋市まちなか図書館は開館4年目を控え、種田澪(おいだ・みお)館長(33)がゲストを迎えて定期的に行う対談「館長がいま会いたいひと」が好評だ。地域の話題の人を取り上げて魅力を引き出し、ヒューマンストーリーを展開させる。メディアに携わっていただけにまとめ方もうまく、訪れた人たちを満足させ、「看板企画」として定着している。
■ 資源の魅力
「ビューティーツーリズム」とはなんですか?種田館長は4月20日の対談に、その提唱者で東栄町の大岡千紘さん(34)をゲストに招いた。地元で採れる化粧品の原料に注目し、手作りコスメ体験と鉱山探検をセットにして「美の地産地消」を目指すビューティーツーリズムを打ち出し、都会から人を呼び過疎地を元気にする立役者。化粧品販売会社「もと」の代表でもある。
「地域おこし協力隊」に加わり、移住したいきさつや原料の「セリサイト」との出会いからコスメ体験などへと話が進み、対談はクライマックスを迎えた。
種田館長は「(大岡さんは)地域の資源を生かして人を呼ぶ編集力、演出力によって魅力に変えた」とまとめた。その際、図書館にも通じることで「特集を組んだり、関連テーマでイベントを開いたりするなど魅力を演出する。もう本を並べて置く時代ではない」と学んだという。
NHK元ディレクター。東日本大震災の番組を手掛け、ドキュメンタリー番組を担当し深掘り取材が得意だ。2児の母でもある。2021年の開館に合わせ東京から豊橋に移った。
毎月1回程度、これまでに32回対談を行った。同じ移住、館長と共通項の先輩格の図書館長や移住と子育てが共通する大学教員、スーパーから八百屋に規模を縮小させた店主、家探しで出会った担当者らをゲストとして取り上げ、「ニュース」に変えた。全員に「お勧めの一冊」を聞くのが定番だ。
農場を開放し来場者に収穫体験や直売を楽しんでもらう「オープンファーム」の仕掛け人で、ゲストに登場した豊橋市の伴和樹さんは「情報の切り口や臨機応変さが上手」と感心する。観客も「活躍する人が近くでいたと知らなかった」「面白かった」などと評判が良い。大学院生が研究対象として関心を寄せ、ゲストの話を聞き、観客にアンケート調査したほどだ。
■ 挑戦者を発掘
まちなか図書館は今年3月、利用者が200万人を突破し、幅広い層から親しまれている。種田館長は、利用者が集い交差するイメージが印象的なアメリカ・シアトルの図書館や宮城県仙台市のメディアテークを利用した経験を踏まえ、図書館づくりを進めている。対談について「今後も地域でチャレンジを続ける人を発掘し紹介したい」と意欲を燃やす。