豊橋市議会/推進派議員ら議運へ条例案/7月20日有力視の参院選と同日実施で/「不信任案」準備継続 追及緩めず
2025/05/15
新アリーナを含む豊橋公園東側エリア整備・運営事業の継続の賛否を問う住民投票条例案が議題に上った豊橋市議会の議会運営委員会
豊橋市の長坂尚登市長の方針で中断している、多目的屋内施設(新アリーナ)を含む豊橋公園東側エリア整備・運営事業をめぐり、事業継続の賛否を問う住民投票が行われる見通しとなった。14日に開かれた市議会の議会運営委員会(議運)で、多数を占める事業推進派の議員らが住民投票条例案を15日の5月臨時会に提出する方針を示した。
事業を支持する市民団体「新アリーナを求める会」が今月9日、市議会に住民投票の実施を求める要望書を提出したことなどを受け、推進派の自民党市議団と公明党市議団に、反対派の共産党市議団なども加わり議員提案で条例案を提出する。民主系「まちフォーラム」なども賛成し、条例は制定される見通し。
条例案によると、住民投票は選挙権を持つ市民が投票でき、事業継続に賛成、反対のどちらかを選ぶ。投票率向上と経費節減のため、7月20日投開票が有力視されている参院選と同日実施する。
事業に反対してきた長坂市長の出身会派「新しい豊橋」は、参院選後を投票日とする別の案を単独で提案する。
議運後、記者団の取材に自民の山本賢太郎副団長は、民意を測る上で住民投票が「最も有効な手段だ」と指摘。ただ、事態打開に向け長坂市長への不信任決議を模索してきた経緯もあり「本意ではないが」と複雑な胸中をうかがわせた。「不信任案の手がなくなったわけではない。準備は続けていく」と追及を緩めない構えを見せた。
山本氏は、住民投票が実施され仮に反対多数になった場合でも豊橋公園の「老朽化の課題は解消されない」として、6月にも公園東側エリアの整備に関する調査特別委員会を設置したいとの意向を示した。
昨年11月の市長選で事業の中止を訴えた長坂氏が当選したことに伴い、市は事業者に対し契約解除に向けた協議を申し入れ、工事は半年にわたり中断している。
推進派と反対派の双方から住民投票条例案が12月定例市議会に出されたが、推進派は「契約解除に伴う損失補償額が不明瞭」などとして採決前に条例案を取り下げた。反対派の条例案は否決された。
この12月議会では、事業継続を希望する市内外の約13万4000人分の署名を添えて新アリーナを求める会が提出した請願が採択された。請願採択を受けても長坂市長は従来の姿勢を堅持した一方、住民投票の「結果は尊重する」とも述べ、賛成多数の場合に契約解除方針から転換する可能性を残している。
長坂市長と市議会多数派の対立は3月定例市議会でも繰り広げられ、予算の組み替え動議の末に新アリーナ関連で建物の設計費と予定地に建つ野球場の解体撤去費などとして2億6100万円の予算案が議決された。