今夏の参院選と同日実施など求め市民団体/豊橋市議会に要望書
2025/05/10
伊藤議長に住民投票の要望書を提出する川西共同代表㊨
豊橋市の多目的屋内施設(新アリーナ)を含む豊橋公園東側エリア整備・運用計画の継続を求める市民団体「新アリーナを求める会」は9日、計画の是非を問う住民投票を速やかに行うことを盛り込んだ要望書を市議会に提出した。
同会の川西裕康共同代表(67)が市役所を訪れ、伊藤篤哉議長に要望書を手渡した。要望書の中では「日々遅延損害が蓄積されている」として損害賠償を懸念し、住民投票を今夏の参院選と同日実施することなどを求めている。
川西氏は「ここに至っても全く前に進まず、もはや住民投票で是非を市民に聞くしかない」と苦渋の思いを吐露した。「住民投票は最後の手段。議会制民主主義で結論を出してほしかった」と付け加えた。
伊藤議長は「議会の各派と話し、どう取り扱うか検討する」と応じた。
長坂尚登市長は、要望への受け止めについて「市議会への要望ですので、取り扱いは市議会にてお諮りされるものと認識しております」とコメントした。
同計画をめぐっては、中止を公約に掲げ昨年11月の市長選で当選した長坂氏が就任後、事業者に対し契約解除に向けた協議を申し入れた。現在、工事は一時停止している。
12月定例市議会では、自民、公明両党や「まちフォーラム」など推進派と、共産党や「新しい豊橋」など反対派の双方が住民投票条例案を提出した。しかし、採決前に「契約解除に伴う損失補償額が不明瞭」などとして推進派は条例案を撤回。反対派の条例案は否決された。
市内外から集めた約13万4000人分の署名を添えて、同会が提出した計画継続を求める請願は、12月定例市議会で採択された。請願の採択を受け長坂市長は3月、計画の契約継続は現時点で検討していないと議会に報告した。ただ「住民投票があれば結果は尊重する」とも述べていて、賛成多数になった場合の方針転換に含みを持たせている。
3月定例市議会では、推進派から出された予算の組み替え動議に長坂市長が応じ、新アリーナ関連として建物の設計費と予定地に建つ野球場の解体撤去費など2億6100万円の予算が成立した。