東日新聞 新年のあいさつ

複雑な時代にこそ、 地域に寄り添う報道を/東海日日新聞社社長 白井 収

2026/01/01

 新年あけましておめでとうございます。読者の皆様におかれましては、健やかに新しい年をお迎えになられたことと心よりお慶び申し上げます。また、日頃より東日新聞をご愛読いただき、誠にありがとうございます。深く感謝申し上げます。

 近年、私たちの社会は新型感染症の経験、国際情勢の不確実性、物価の変動、価値観の多様化など、かつてない複雑さを孕む時代へと移りました。社会の変化が大きいほど、日常を穏やかに暮らしたい大多数の市民が、望まぬ形で〝分断〟に巻き込まれやすくなります。

 議論が深まる前に、断片的な言葉や強い主張だけが独り歩きし、全体像が見えぬまま物事が進んでしまう。このような事態は、地域社会の落ち着きを揺るがし、本来は同じ方向を向いているはずの人々の間に、不必要な溝を作りかねません。

 最近では、互いの正しさを競い合うような価値観の押し付けが議論を疲弊させ、「リベラル疲れ」という言葉が聞かれるようになりました。多様性を尊重することと、自分の考えだけを唯一の正解として他者に迫ることは、まったく別の姿です。

 時代が複雑になるほど、丁寧に説明しなければ伝わらないことが増えていきます。表面的には対立しているように見える事柄も、背景や意図を知れば、互いの立場を理解できる場合が少なくありません。

 こうした時代だからこそ、地域に根ざした新聞社の役割はより重要になっていると考えます。東日新聞はこれまでと同様、「地域を笑顔に」というスローガンのもと、挑戦する地域の人々の姿を正しく伝え、静かに地域を支える多数の声に寄り添い、意見の違いが対立を生むのではなく、理解を深めるきっかけとなるような報道を目指してまいります。

本年も、変わらぬご愛読を賜りますようお願い申し上げます。

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