教えて!乳がんのこと 

乳がんの治療費について

読者からの質疑応答=(豊橋市民病院患者総合支援センター/荒川典久)

2013/10/30

荒川典久さん

質問/乳がんと診断された後、抗がん剤治療・放射線治療・その他治療がいろいろあると思いますが、それぞれどのくらいの費用がかかるのかだいたいの治療費の金額を教えてください。(豊橋市野依町、Y・Aさんより)

回答/乳がん治療には、その症状により、「手術療法」、「放射線療法」、「化学療法」、「ホルモン療法」などがあります。

 手術療法は乳房内のがんを取り除く外科的療法です。費用は5日~10日程入院して、概算70万円~80万円程度、3割負担で21万円~24万円になります。

 放射線療法は手術後、取りきれずに残されているかもしれないがん細胞を死滅させるための療法で、費用は25回照射した場合、概算で30万円~40万円程度、3割で9万円~12万円程度になります。

 化学療法は、抗がん剤によって、がん細胞を攻撃して増殖を抑えて死滅させる療法で、費用は使う薬や組み合わせによって異なりますが、6カ月行ったとして、概算70万円~80万円程度、3割負担で21万円~24万円程度になります。このほかに再発予防のための分子標的治療を行った場合は、さらに総額200万円程度、3割で60万円程度加算されます。

 ホルモン療法は、ホルモン剤によって、体内の女性ホルモンの働きを妨げてがん細胞の増殖を抑える療法です。この療法はホルモン剤を5年間飲み続けたとして、総額は80万円程度になります。どの治療においても、高額な医療費が発生しますが、健康保険の高額療養費制度などを利用して負担の軽減を図ることが出来ます。詳しくは加入されている保険者に相談されると良いと思います。

 「乳がんの発生率は15人に1人」と言われており、とても身近な病気で、書店にはそれに関連する本が多く並んでおり、関心の高さがうかがえます。

 また、今や情報化時代を反映して、インターネットでも簡単に病気や治療のことを調べることもでき、便利になった半面、氾濫(らん)する情報に惑わされることもあります。誤った情報で自己判断することは危険なことです。何が正しい情報なのか見極めることも大切になります。もし診(み)ていただいている先生がおられましたら、その先生が患者さんの病気のことを一番ご存じです。まずはその先生に相談されることが良い方法だと思います。

 国はがん患者さんが全国どこにいても「治療」、「情報」、「相談」が受けられるように、地域ごとに「がん診療連携拠点病院」を指定し、地域の医療機関と一緒になって、がん患者さんを支えるような体制を作っています。愛知県内には23の拠点病院が指定されており、豊橋市民病院も東三河における拠点病院として指定を受け、その役割を担っています。

 がんはつらい病気ですが、それを抱え、悩むことはもっとつらいことです。がん相談を行う拠点病院は、そこに通う患者さんだけの相談ではなく、他の医療機関に受診される患者さんやご家族の相談にも応じています。一人で悩まずにお気軽にご相談いただければと思います。

2013/10/30 のニュース

荒川典久さん

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