教えて!乳がんのこと 

治療後押しするアンジーの行動

アンジーについての見解/(まつおクリニック院長/松尾康治)

2013/10/11

松尾康治先生

質問/アンジェリーナ・ジョリーのとった行動について、どう思われますか。(豊川市八幡町、T・Uさん)※再度

回答/彼女の母親は、卵巣がんのため、56歳で死亡。彼女本人は遺伝子検査の結果、BRCA1遺伝子変異陽性者だった。38歳の彼女は、今年5月に両側乳房切除と乳房再建を受け、今後、両側卵巣切除予定と聞く。

 BRCA1/2遺伝子変異を有する女性の生命予後を良好に保つ方法としては、①サーベイランス(監視)を厳重に行い、早期発見、早期治療に努める②両側乳房切除を行う③両側卵巣卵管切除を行う④予防的ホルモン療法を行う、などが考えられるが、乳がんを発症させない最も確実な方法は、両側乳房切除である。90%のリスク減少が期待できる。

 また、BRCA変異では、卵巣がんのリスクも非常に高いが、検診による発見は困難であるし、リスク軽減に有効な薬物療法がないので、両側卵巣卵管切除は、卵巣がんの唯一の予防法である。したがって、彼女が行い、これから行おうとしている予防法は、最強であると思います。

 卵巣切除後に更年期症状の発症が予想されるが、乳房切除を行っているので、ホルモン補充療法を受けるにも、乳がん発症リスクを懸念する必要がないので、十分に行い得る。そのため、更年期症状に苦しむこともないでしょう。

 さて、予防は個人的なことであるが、有名女優のアンジェリーナ・ジョリーさんが、このような予防的治療を受けたことを公表することで遺伝性乳がん、ひいては遺伝性腫瘍(しゅよう)の存在を広く世界に知らしめたことによる社会的効果の大きさは、計り知れない。日本でも遺伝子検査、予防的治療に向けて、該当する女性の背中を押すことになるだろうし、社会的な差別の撤廃や法整備などにも推進力になるに違いない。

2013/10/11 のニュース

松尾康治先生

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