桜の季節 

激闘の「末」に

第4章 94回

2020/12/27

桜丘はあと一歩及ばず敗退が決まった(ⒸJBA)

 残り14秒7。松野遥弥からボールを受け取った土屋来嵐が鋭い加速で相手コートに攻め込み、2人を引きつけてパスを出した。フリーで待っていた野澤登真はポジションを確かめると、ゴール目掛けて迷いなく3点シュートを放った。ボールはきれいな放物線を描き吸い込まれるように落ちていく。しかし、その軌道はわずかに手前で失速し枠を外れた。ゴール下ではリバスが必死に腕を伸ばしたが届かず、最後の力を振り絞りルーズボールを争う混戦の中で時間は静かに進み、勝利の女神は桜丘に背を向けた。

 ピンク一色に染まった応援席では、桜丘の猛追が始まった残り3分から保護者らが総立ちで選手の背中を押した。控え選手たちは力強く拳を握って口々に「勝てる」「行ける」と目を輝かせ、刻々と迫るその瞬間を信じ続けた。

 あと一歩、最後にあと少し相手を上回る力が、桜丘には足りなかった。試合後、力無くコートを去る選手たちの目には、悔し涙が光っていた。

 激闘から2日後、惜敗の余韻に浸る間もなく、帰郷したばかりの桜丘では1、2年生の新チームが早くも新しいスタートを切った。江崎悟監督に聞くと「新チームは『勝たなければいけない試合を落とした』ことを受け止めなければいけない。あの試合で何が足りなかったのか、自分たちはこれからどんな練習に取り組むべきなのか。どんな状況でも、選手個々の能力に頼り切るのではなく、チームとして自分たちの全力を出し切れるようにしたい」と話した。

 さらに「桜丘の原点に戻り基本を徹底する。自立と依存のバランスを考えて組織を作っていく。みんなが頑張るチームにしたい」と語った。

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