「技科大に行きたいと思う勝利を」魅せるか〝必殺ダンク〟/豊橋技科大4連覇へ 難題「ロボバスケ」に挑む
2025/06/07
ロボット同士がぶつかり合う練習試合(豊橋技術科学大学体育館で)
「NHK学生ロボコン」は8日、東京都内で開かれる。今年の競技「ロボットバスケットボール」は、ロボット同士のぶつかり合いに堪える頑強な機体と、パスやドリブル、守備など多彩な機能が求められる難度の高い課題だ。4連覇を目指す豊橋技術科学大学ロボコン同好会にとって、優勝は至上命題。世界を見据え、ただ勝つだけでなく、ライバルと後輩たちに見せつける「必殺技」で史上最多10度目の頂点に立つ。
◆ロースコア
大会まで3週間を切った5月中旬、ロボコン同好会は技科大体育館で、若原昭浩学長ら大学関係者を集め開発中のロボットを披露した。ロボット2台同士で対戦する練習試合を3回行ったが、ロボットが接触する状況ではパスもドリブルも容易ではなく、鮮やかにシュートを決める場面は少なかった。
大型連休中に行った北陸遠征でも、金沢工大、富山大、東京科学大との練習試合はロースコアの展開。同好会の杉元優介代表(4年)は「パスもシュートもロボットのセンサーと選手の操作を組み合わせて狙うが、センサーで照準を合わせた後に、相手が接触してくると照準がずれる」とロボバスケの難しさを語る。試合時間が短くシュートチャンスも限られ、本大会でも、僅差のロースコアで決する試合が多くなりそうだ。
◆アリウープ
ロボバスケには、ダンクシュートを決めると7点が入るルールがある。しかし、北陸遠征に参加した4大学中、ダンクができたのは豊橋技科大だけ。ロボットを1メートル近くジャンプさせ、安全に着地しなければならない。技術的難度が高く、ダンクを諦める大学もでてきそうだ。
杉元代表は「1ゴールが重い試合になる」と予想するが、同好会が作り上げたロボットは、3点シュートが得意な「RC」と、ダンクシュートで7点を狙う「RJ」の2台。「C」は3点シュートの名手ステフィン・カリー、「J」は「史上最高のバスケ選手」と称されるマイケル・ジョーダンの頭文字から名付けた。
確実に2点を取る作戦の方が安全策という見方もあるが、同好会はあえて高得点を狙う高度なロボット開発に挑戦。「チャンスがあればどんどんダンクを狙って、圧倒的強さを見せつけたい」と杉元代表は強気だ。味方からのパスを空中で受け、そのままダンクする大技「アリウープ」も見せたいという。
「先輩たちのロボットには毎年『必殺技』があった」と、同好会の輝かしい伝統も意識する。優勝に最も近い位置にある技科大へ全国の高等専門学校から集ってきたロボコンエリートにとって、日本一だけでは満足できない。豊田高専出身で選手として出場する石川慶人(4年)さんは言う。「ロボコンやっている高専生が『技科大に行きたい』と思う勝ち方をしたい」。
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今年のロボコン
競技は、2台のロボット同士で対戦するバスケットボール。2分の試合時間(決勝ラウンドは3分)で、攻撃と守備を最長20秒毎に交代する。得点は、通常の2点シュートと3ポイントゾーンからの3点シュート、ロボットがジャンプしてゴール上から投げ入れると7点が入るダンクシュートがある。