蒲郡の寿楽荘で ボウリング対戦/介護予防で広がる導入の動き
2023/09/04
大画面に映し出されたボウリングゲーム(蒲郡市・寿楽荘で)
コンピューターゲームをスポーツ競技のように楽しむ「eスポーツ」。担い手は主に若者だが、高齢者の介護予防に生かそうと、自治体などが取り入れる動きが広がっている。
「ストライク!」「すげー。おばあちゃん最強!」。蒲郡市老人福祉センター寿楽荘で、子どもたちの歓声が響いた。地元の小学生を招待する年に1度の「夏祭り」でボウリングゲームのトーナメント戦が開かれ、お年寄りと子どもたちが腕前を競った。
大広間に並んだ3台の大型モニターには、ボウリング場のレーンに並んだピンが映し出されている。参加者が片手にコントローラーを握り、球を投げる動作をすると、本物さながらにピンが倒れてストライクやスペアなどの文字が躍る。
寿楽荘では一昨年、家庭用ゲーム機ニンテンドースイッチを導入し、大型モニターでプレイできるようにした。かつてボウリングに熱中した世代を中心に人気を集め、200点超えの猛者もいるという。
トーナメント戦では、腕に覚えがあるシニア世代が小学生にコツを教える場面も。豊川市の小野文男さん(75)、文子さん(64)夫妻は「子どもたちから元気をもらえる」と笑顔。この日もハイスコアをたたき出し、小学生チームに勝利した。「大人げなく勝ってしまいました」と頭をかいていた。
夏祭りではほかに、射的やスーパーボールすくいなどの縁日イベントや、けん玉やお手玉といった昔遊びのコーナーがあり、孫子3世代が楽しんだ。企画した寿楽荘前所長の廣浜忠章さんは「小さい子どもたちに会うと、皆さんの顔つきが変わる。楽しく認知症予防になれば」と話す。
▼世帯間交流も
eスポーツは、格闘対戦やレースゲームなどを中心に国内外で大規模な大会が開かれている。最近では若者文化にとどまらず、高齢者の健康維持対策としても注目されている。
夏祭りを見学した市議の鈴木将浩さん(36)によると、熊本県美里町で行われた実証実験でも一定の効果が確認されているという。「高齢者と若者、子どもの世代間交流のツールとしても可能性を秘めている。市でも活用が進めば」と期待を寄せる。
高齢者の健康増進、レクリエーションなどを目的に1975年に開設された。蒲郡、豊川各市在住の60歳以上が無料で利用できる。大浴場、カラオケ、卓球台、マッサージ機などの各設備のほか、健康体操や書道などの教室も開かれている。