技科大ロボコン「連覇へ」《Ⅵ》

【ライバル㊤】国内強豪校を分析/東大「組織力や新入生教育の確立」

2024/05/05

2022年学生ロボコン優勝決定の瞬間

 6月9日に東京で開かれるNHK学生ロボコンまで1カ月あまり、豊橋技術科学大学ロボコン同好会のロボット製作も最終段階だ。国内のライバル校も技科大の三連覇を阻止すべく技術を磨いている。彼らはどんな戦い方で技科大に挑むのか。2022年と23年の学生ロボコンを連覇した、技科大ロボコン同好会代表の今野麟太郎さん(博士前期課程2年)と廣本一真さん(同1年)に、国内強豪校について話を聞いた。

 ◆東京大学

 学ロボ優勝回数は技科大に次ぐ7回、2011年からの10年間で5度優勝。ABU(アジア太平洋放送連合)大会も2回制覇した実績のある最強ライバルだ。

 今野=優秀な頭脳をベースにした新入生教育が確立している。先生のバックアップもあって組織として強い印象。ワークショップ形式の教材ができていて、大会にも頻繁に出場して、短い期間で濃密なロボコン体験をしている。

 廣本=今年の関東春ロボコン(おもに1~2年生が出場する大会)にも3チーム出て、1~3位を独占した。

 今野=技科大の場合、各年代で高専からどれだけ優秀な人材が集まるかで戦力が決まる「高専ガチャ」。高校からは入ってくる部員が少なくて、東大と比べると教育もうまくできていない。そこが技科大の課題になっている。

 廣本=東大には半屋外の常設フィールドもあって環境も恵まれている。資金面でもロボコン基金があって、そこから開発費が出る。ただ自由には使えないらしく、それほど余裕がある感じじゃない。

 今野=部員も多くて部内の競争も激しい。プライドが高くて負けず嫌い。勝利へのこだわりが強いのも東大の特徴。

 ◆長岡技科大

 豊橋技科大同様、高等専門学校からの編入学が多数を占める。21年の学ロボを制した強豪。

 廣本=高専ロボコンの経験者もたくさんいるが、ロボカップ(ロボットのサッカー競技)やロボマスター(中国で開かれるロボット競技会)に出るサークルがあって、人材が分散している。

 今野=学ロボやりたい高専生は豊橋を選んで来る傾向があるので、長岡の学ロボは豊橋ほど人材がそろっていないようだ。

 廣本=常設フィールドもあって環境はいい。地元企業も資金面で応援していて、豊橋技科大のスポンサー制度も長岡を参考にして始めた。

 ◆私立大学

 金沢工業大学はABU大会の優勝経験もあり、学ロボも3回制覇。技科大・東大と並び「三強」とされてきたが、2010年以降は優勝から遠ざかっている。

 今野=常設フィールドもあって設備はトップレベル。大会に出たロボットを大学が買い取ってPRに使っているらしく、資金的にも恵まれている。先生のサポートもしっかりしていて、技官さんに分からないところをすぐに聞ける。

 廣本=対外試合の文化がある。富山や新潟の大学との大会を運営していて、北陸はロボコンのレベルが高い地域になっている。

 今野=ただ最近は「自動化」の技術トレンドに乗り切れていない感じで、学ロボで勝てなくなった。



 私大勢の中で注目は東京工科大学。近年の学ロボで上位に進出するようになった新興勢力だ。

 廣本=ここも設備がいい。高額な工作設備をロボコンチームだけで占有して使える。技科大ロボコン同好会のOBが顧問になって力を入れているようだ。

 今野=大会ではローテクで勝ち上がってきた。普通ならセンサーで照準を合わせるのを人の目でやってくる。ただ、核となる人材が卒業してしまったので、人材が育っているか今年が勝負の年になる。

2023年の学生ロボコンで優勝を決めた技科大チーム

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