「渥美線電車機銃掃射」語り継ぐ田原市の前日の会制作/21日の小学校出前授業で活用
2026/01/06

「戦跡すごろく・半島コース」を広げ、出前授業に向け、準備する山田前代表(田原市内で)
「平和を考える第一歩になれば」―。太平洋戦争の終戦前日、米軍機の銃撃を受けて31人が死傷した惨事「渥美線電車機銃掃射」を語り継ぐ田原市の「前日の会」の山田政俊前代表は、新春を彩る「戦跡すごろく・(渥美)半島コース」を作った。21日の小学校の出前授業に初めて取り入れる。機銃掃射の様子を現した紙芝居の上演にすごろくを加えることで「悲劇になりがちな授業に楽しさが伝われば」と意欲を燃やしている。
■面白さ・楽しさ
渥美半島には終戦前、本土決戦に備え、米軍の上陸を防ぐため陸軍の第73師団(怒部隊)と第153師団(護京部隊)が陣地を構えた。これらの戦跡が多く残っている。
戦跡すごろく半島コースは、B紙(B1ぐらい)の大きさ。笠山の機関銃陣地をスタートし、機銃掃射被害跡地を経て野田の監視哨(かんししょう)、伊良湖射場など22カ所を回り、田原町護国神社がゴールとなる。こうした師団の爪痕などが反映された。豊橋市の老津飛行場、老津通信施設なども加えた。
また、サイコロを振って止まった場所で、じゃんけんをして勝った人は3マス進むなどの「恩典」、最下位の人と場所を入れ替わるなどの「落とし穴」もあり、面白さや楽しさでいっぱいだ。
■反応は良かった
前日の会は前身の団体を含め、2015年から紙芝居「前日物語」をメインに地元の小学校6年生のほか、各種団体などで出前授業を開いている。その内容は悲しい出来事ながらも、「ナレーター」のカラスの祖母と孫の漫才風の口調がユーモアにあふれ、6年生らには好評だ。
元小学校教員でもある山田前代表は、低学年まで対象を広げられないかと思っていた。しかし、上演時間が約30分と長く、退屈になり走り回わらないかなどと悩みの種だった。
思い付いたのがすろく。紙芝居とともに日本の伝統的な娯楽の一つ。機銃掃射の話を発展させ、半島の「戦争遺産」を現すことを計画。約4年前から田原市教育委員会発行の戦跡ガイドブックを基に半島を中心に巡り、副代表の本田泰敏さんにカメラに収めてもらい、B紙ですごろくを作った。やまなみ、校区高松のコースも作り上げた。
すでに地元野田小と豊橋市の老津小で試験的にすごろくを行い、子どもから「面白かった」と反応は良かった。
■平和を学ぶ
21日の出前授業は、市内の衣笠小6年生を対象に開かれ、紙芝居に加えすごろくがある。山田前代表は「子どもたちに楽しんでもらえたら良い。将来的には平和を学ぶきっかけになれば」と期待を寄せる。
彦坂久伸代表は「だれでも学べる出前授業にしたい。すごろくも臨機応変に取り入れたい」と話す。問い合わせは、電話090(9928)7491へ。
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渥美線電車機銃掃射 終戦前日の1945年8月14日、三河田原駅を出発した名古屋鉄道(現豊橋鉄道)渥美線の電車が、現在の田原市の神戸駅付近で米軍機の機銃掃射を受け、乗客約40人のうち乗員らを含め15人が死亡、16人が負傷した。近くの踏切の前に「大東亜戦争動員学徒殉職之碑」が建立されている。