教えて!乳がんのこと 

石灰化は乳がんとは限らない

読者から質疑応答=(回答・執筆者)成田記念病院副院長/神谷 厚

2013/10/12

成田記念病院副院長/神谷 厚

 質問/石灰化したしこりと、乳がんにかかるリスクについて。石灰化したしこりは、がんに変わる可能性はありますか?(豊橋市東田町、K・Kさんより)

 回答/石灰化は乳腺内にカルシウムが沈着したことを意味しています。マンモグラフィでの石灰化は、乳がん以外でも、乳腺症や線維腺腫などの良性疾患でもよく認められます。むしろ良性疾患での石灰化のケースの方がずっと多くて、乳がんによる石灰化は約2割しかないと言われています。

 したがって石灰化=乳がんと信じ込んで駆け込んでみえる方が多くみえますが、そんなに心配することはありません。なぜなら悪性の石灰化の確率が約2割という事実だけでなく、たとえ悪性の石灰化という結果が出たとしても、石灰化だけで発見される乳がんは一般にたちのよい非浸潤性乳がんの可能性が高く、手術によりほとんど100%治癒する可能性があるからです。

 良性の石灰化が悪性に変わるということはありませんが、悪性の石灰化か良性の石灰化であるかの区別がつかないことが多々あります。その場合はマンモグラフィによる定期的(約1年ごと)な経過観察が必要となります。

 また、どうしても悪性の石灰化が否定しきれない場合は、ステレオガイド下のマンモトームでの確定診断(組織診断)をお勧めしています。

 ご質問の石灰化した乳腺のしこりが乳がんに変化するかという点ですが、前にも述べたように石灰化を伴う乳腺疾患はいろいろあり、乳がんだけではなくて、若い人に多い乳腺の線維腺腫や、40歳前後からよく認められる乳腺症、それに伴うのう胞内に貯留した石灰化など、良性腫瘍に伴う石灰化像も多く見られます。そしてこれらの病変はほとんど乳がんへは移行しないと言われています。

 以上、乳腺の石灰化について述べましたが、石灰化をあまり神経質に心配する必要はありませんが、石灰化だけで発見される乳がんは、先程述べたように、たちのよい乳がん(非浸潤性乳がん)であることが多いので、1度はマンモグラフィを受けて早期発見に努めてください。

2013/10/12 のニュース

成田記念病院副院長/神谷 厚

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