東日賞に日比氏と星野氏

2014/08/15

日比嘉男氏㊨と星野昌彦氏

 東海日日新聞社は、2014年度の「第37回東日賞」を豊川信用金庫会長の日比嘉男氏(71)=豊川市古宿町=と、俳人の星野昌彦氏(82)=豊橋市三ノ輪町=に贈ることを決めた。日比氏は「地元のために。地元とともに」という信念のもと、地域に溶け込んだ同信金のあり方を確立させ、豊川市観光協会会長として昨年のB―1グランプリ成功に大きく寄与した。星野氏は全国で初めて、全国規模の俳句団体「現代俳句協会」の協会賞、新人賞、評論賞の3冠を獲得し、現在も俳句誌「景象」を主宰するなど活躍している。10月上旬に顕彰し、本賞(書家・権田穂園氏の顕彰状)と副賞(記念品)を贈り、功績をたたえる。

日比嘉男氏

星野昌彦氏

日比嘉男氏/豊川信用金庫 会長/B―1GPなど地域に貢献/「多くの人へ恩返ししたい」

 6月、豊川信用金庫会長に就任した日比嘉男氏は1943年、大阪府生まれ。時計商を営む父親が技術者として海軍工廠に徴用され、豊川に移り住んだ。62年に新城高校を卒業し、同信金に入庫した。

 支店長代理として小坂井支店に配属された73年、世間を驚かせた取り付け騒ぎが起きた。女子高生の雑談から同信金の経営が危ないと勘違いのデマが広がり多くの客が押し寄せ、短期間に約26億円もの預貯金が引き出されたとされる。不眠不休で対応した当時を振り返り「群集心理の怖さを知った」。

 2003年、理事長に就任。子どもの教育などライフステージに金融を通じて働きかけた。また地元企業を育てるために始めたビジネス交流会は今年で10回目。その後も「地域で代々引き続いて利用してもらえる金融機関でありたい」と堅実に歩んできた。その延長線上に豊川市観光協会会長(11年~)、豊川商工会議所会頭(12年~)の活動がある。

 昨年のB―1グランプリで実行委員会副会長を務め、同信金のネットワークで他信金にも協力を働き掛けた。会期の2日間で約58万人を集め、官民一体で同市の団結力の強さを見せた。

 昨年秋に旭日双光章(金融功労)、今年6月には日本観光振興協会中部支部長表彰を受けた。

 「多くの人に支えられてここまで来た。健康な限り今まで受けた恩を、置かれたそれぞれの立場でお返ししたい」。

星野昌彦氏/俳人/五・七・五に人間の実像刻む/「郷土から文化生み出したい」

 星野昌彦氏は1932年、豊橋市の生まれ。54年に愛知学芸大学(現愛知教育大学)を卒業し、以来38年間、県立高校の国語教師として教鞭(きょうべん)を執った。92年から22年間は、NHK豊橋文化センターの講師も務めた。

 55年に内藤吐天氏に師事し、同年から中部日本俳句作家会会員、66年から現代俳句協会会員としても活躍。89 年から俳句誌「景象」を主宰し、2014年9月に記念すべき100号目を発刊する。同年7月には第16句集「虚空領」を出版した。

 星野氏は、人間の存在を川に例える。「水面にあるような日々流れていく感情」を「日情」と表現。「水底にあるような本質的な情緒」のことは「本情」と言い表し、「両方が川の実態、すなわち人間の存在」。

 その上で、俳句の醍醐味(だいごみ)を「五・七・五の中に、生と死が一体となった人間の実像を刻み込むことができる」と説く。

 94年に豊橋文化振興賞、98年に豊橋文化賞、06年には豊橋市勢功労者表彰に輝いた。

 東日賞受賞の報を受け、豊橋市出身の星野氏は「地元で評価されることが一番うれしい」と喜びの笑顔。

 旺盛な創作意欲はいささかも衰えていない。「外から芸術を持ち込むのではなく、郷土から文化を生み出したい。どんな形であれ、市民が文化に関わり続けるきっかけになってほしい」と力を込めた。

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