人に歴史あり 

海軍工廠が運命を変えた

家族で大阪から豊川へ/豊川信用金庫会長 日比嘉男さん(71)

2015/05/15

豊川信用金庫会長の日比嘉男氏

 生まれは大阪市港区。赤ん坊の頃、豊川市に移ったので大阪の記憶は全くないが、たぶん下町の貧しい一帯だったんじゃあないかな。父は1913年(大正2)、母は20年(大正9)年生まれ。時計商を営んでいたと聞いている。父は18年前に、母は昨年、95歳で他界した。

 私が生まれて間もなく、父親が海軍工廠に召集された。仕事がら、精密機械を扱えたことが理由だろう。父母と、5歳上の姉、私、父方の祖母の5人で、工廠の宿舎が建ち並んだ曙町に住み始めた。当時の曙町や東光町、桜ヶ丘町周辺は原野で、宿舎用の長屋ばかりだった。

 空襲が45年だから、その頃私は1歳ぐらい。もちろん記憶はないが、防空壕に避難する時など母の背に負ぶさっていた私の姿を、姉は今でも覚えているという。

 そのうち空襲が起きた。幸い家族は無事だったが、仕事も何もかも無くした。全国から召集されていた近所の人たちの多くが出身地に帰っていった。私たち家族も一度大阪に戻ったが、そこも大空襲でやられていて、もう帰るところはなかったのだろう。長野の善光寺近くの知り合いの家に何カ月か疎開した。そして再び戻ったのは豊川市の曙町。なぜここへ戻れたのかわからないが、近所や知人の助け合いが盛んな時代。誰かが縁を作ってくれたのではないか。

【ひびよしお】

 1943年(昭和18)6月24日生まれ。大阪市港区出身。新城高校を卒業後、豊川信用金庫に入庫。支店長、理事を経て2003年理事長に就任。14年から会長を務める。

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