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【TOPインタビュー】プロファームなどICTで栽培制御/来年創業50周年に向けて/川西裕康社長/トヨタネ
2017/12/08
トヨタネの川西裕康社長
昨年、トヨハシ種苗から社名変更したトヨタネは10月末、磐田市の定例記者会見の中で、現在、同市に大型種苗施設の整備を進めていることを発表した。来年の創業50周年を前にして、新たな展開を見せる同社の川西裕康社長に、同施設整備から今後の展開などについて聞いた。
―もともと大規模種苗設備を磐田市で展開しようと思ったきっかけは何だったのか
磐田市は産業誘致に非常に積極的で、産業振興を目的とした補助金プランを制定。すでに富士通などスマートアプリを活用した農業関連事業会社を誘致しており、当社にも同市からの提案があったのがきっかけだった。
近年、トマトやキュウリ農家で大規模に展開する農家ほど、規模拡大や分業化でタネから育てるのではなく、苗を買う時代になってきている。当社でもプロ農家向けの苗の需要が伸びている中で、安定品質、安定供給が課題となっており、苗を作る新たな生産施設を求めていたところに、当社のお座敷(=営業エリア)である同市からの働きかけがあったので、「よし、じゃあ出よう」と一大決心をした。
―同施設について具体的には
同市の中山間地区にあたる神増地区の約1・7ヘクタールの農地に、約1ヘクタールの大型ハウスを建設。来年夏ごろの完成をめざし、2019年内のフル稼働をめざしている。同ハウス内は、デンソーと共同開発した環境制御装置「プロファーム」など、ICT(情報通信技術)を活用した生産拠点とする予定である。
―現在、年商78億円の中で苗販売の売上比率はどのくらいなのか
現在は7億円程度。これを19年以降は約3億円増、10億円程度の売上を見込んでいる。
―苗生産・販売はこれからの重要なビジネスの柱に育てていくつもりか
苗ビジネスは、採算ぎりぎりの価格でより品質の良いものを提供しないといけないため利益的なことを考えるとなかなか厳しい分野だ。今回の進出は、当社のエリアである静岡に、全国の他の業者が参入してくることは避けたい、という理由が大きかったが、当社の苗が評判となり、さらなる信用を得られれば、多分野も伸びていくのではないかと考えている。
昨年、岐阜に営業所、熊本に出張所、千葉には駐在所を設けたが、事業としては、環境制御システム「プロファーム」をベースに、自社製品の「ココバックシステム」の普及など、東海地区はもとより、全国の施設園芸農家に向けて、販路の拡大を図っていきたいと思う。
―来年の創業50周年に向けて、今後の展開は
種苗、農業用ハウス、栽培システムの販売・提案、栽培指導などを通じて、愛知、静岡、三重、岐阜といった「地域の園芸農業に貢献していく」というのが当社の中心ビジネスである。そのコアビジネスを引き続き展開し、地域の信用を得ながら、この地域で培った数々のノウハウを関東や九州など全国に提案していきたい。
また、社員らにいろいろな場所を与えることで、社内が活性化し、結果的には会社を発展させていくことにつながると思うので、若い人材の可能性を広げられるようなステージを今後も用意していけたらと考えている。