桜の季節
第五章 第10回
2021/05/30
選手たちの気持ちを奮い立たせるには何が必要だろうか
今夏はもはや何の楽しみもなくなってしまい、モチベーションを上げる方法が見つからない。誰が悪いとか、何が違うとか、その怒りの矛先を見つける術(すべ)がない。客観的な立場の筆者でさえこんなに落ち込んでいる。当事者の選手や監督は、かなりのショックを受けているだろう。果たして桜丘バスケ部は今冬の戦いに挑むことができるだろうか。
昨年末のウインターカップでは、コロナ感染により市立船橋や光泉カトリック、土浦日大、桐光学園が高校最後の集大成の大舞台に立つことを許されなかった。大会途中に陽性者が判明した実践学園や開志国際も会場に入ることができず、可能性を残したまま試合棄権を余儀なくされた。
コロナの影響で大会に出場できず、涙を逃した高校生はたくさんいる。今回、桜丘がその当事者となってしまったことは残念だが、同じような経験をした高校生が全国には数多くいて、彼ら、彼女らは悔しさを胸に抱えながら前を向き気丈に振る舞っている。
桜丘高校は、コロナ感染の状況を見極めながら段階的に学校を再開すると発表した。ただし、基本的には部活動を中止。いつ再開できるかまだ現時点では全く分からない。
その間、バスケ部の取材ができない筆者が選手を励ますために、今、何ができるかをじっくりと考えてみた。どれだけ励ましの言葉を送っても選手には届かない気がする。それよりも彼らと同じ境遇で悩む高校生の姿をできるだけリアルに届けること、それで選手たちが少しでも前を向くきっかけになればうれしい。
オール愛知まで約5カ月。もしかしたら、今年は出場枠1校になってしまうかもしれない。準備は早い方が良い。