4代目「愛知丸」お披露目/居住空間拡大 最新衝突予防システムも
2025/09/03
新造された実習船「愛知丸」(蒲郡市港町で)
県立三谷水産高校(蒲郡市三谷町)の実習船「愛知丸」が18年ぶりに新造され、2日、市内港町の竹島ふ頭でお披露目された。
4代目となる新「愛知丸」は、全長48・6メートル、幅9・4メートルで定員は56人。総トン数は先代の倍近い581トン。建造費は約30億円。カツオの一本釣りなどの漁業実習や通信実習、ドローンによる海洋環境調査など、年間200日以上の乗船実習を行う計画だ。
船内は教室や居室を拡大したほか、個室シャワーを設置。照明は発光ダイオード(LED)にした。これまでより船内の騒音や振動が抑制された。さらに遠距離の探知が可能な海鳥レーダーなど、最新の衝突予防システムを搭載した。環境対策として、排出ガスを低減し、災害時には自家発電した電気を船外に給電できるようにした。
専攻科2年の三好悠太さん(20)は「船内がとても広くなった。教室が科ごとに分かれたので、勉強に集中しやすくなると思う」と話した。
この日、同校で完成を祝う式典があった。山本輝校長は「次世代の人材育成に役立てたい。居住性が向上し、小中学生の体験学習にも活用できる。三河湾や自然への理解を深めてほしい」と期待を込めた。
旧「愛知丸」は2007年に建造されたが、老朽化などのため更新されることになった。今後は、ODA(政府開発援助)で南太平洋のクック諸島政府に無償で供与される。離島間の物資輸送や人員の運搬などに使用されるという。