蒲郡市竹島水族館/目標額850万円まで もうひと踏ん張り/ユニークな返礼豊富に用意/「人にも魚にも快適な水族館」へ強い思い
2024/04/08
「何もしない」ことで人気を呼んだかつてのカピバラショー(蒲郡市竹島水族館で)
蒲郡市竹島水族館がカピバラ舎の新設資金を募るクラウドファンディング(CF)が好調だ。先月20日の開始から3週間足らずで、目標の7割を超す630万円余りを集めた。今月から運営権が民間企業に移り、市の資金に頼れない中、期限の来月13日までスパートをかける。
目標額は850万円。CFサイト「READYFOR(レディーフォー)」で、初日に4分の1に当たる200万円を超える支援があった。スタートダッシュが肝心と言われるCFでは、開始5日で3割達成が一つの目安とされている。
竹島水族館はその目安を上回ったが、2カ月弱の募集期間で、後半の停滞は危険。CFの中でも、全額を達成した場合にのみ受け取れる「オール・オア・ナッシング」方式という背水の陣で挑んでいるからだ。
支援者にとってリターン(返礼)は大きな魅力。館長による「お姫さま抱っこ」や、「世界一臭い」とされる缶詰「シュールストレミング」をスタッフと一緒に食べる権利など、ユニークな返礼を豊富に用意した。
■カピバラ再び
水族館では今秋の新棟オープンに向けて、既存棟の改修や、隣接する旧土産店街の解体工事が進められている。全面リニューアルが完了すれば、展示面積は2倍に拡張される。屋外にはアシカのプールやカピバラの放飼場を整備する計画だ。
昨年、雌の「そら」が老衰のため死んで以来、館にはカピバラがいない。食べ物につられて輪をくぐるだけの「何もしない」ショーが人気で、展示再開が望まれていた。小林龍二館長は「カピバラはおっとりして見えるが、走り回るのが得意。屋外で伸び伸びできる場所を用意してあげたい」と話す。
同館では今月から「公設民営」のコンセッション方式を導入。これまでの指定管理者「竹島社中」と鈴中工業を協力企業とする「竹島開発」が運営権を譲渡された。運営の自由度が上がった代わりに、老朽化した建物の改修費や高騰する光熱費・餌代などがかさみ、入館料だけで賄うのは難しいという。
資金の少なさを逆手に取り、スタッフが繰り出すアイデアが独特の人気の源でもあるが、古くて狭い施設は、その人気を受け止めるのに限界が来ている。炎天下や雨の日に、入り口前に長い行列ができることもしばしばだ。小林館長は「アットホームな雰囲気はそのまま、魚にとっても人にとっても快適な水族館にしたい。どうか助けてほしい」と呼びかける。