農業のイメージ一新

ある転勤族夫婦のオープンファーム・農園巡り記/何を求めどう感じたか―感じた「販売」の必要性

2024/06/04

中玉トマトの収穫体験を楽しむ佐藤さん夫婦

 農園巡りや農産物の直売に何を求め、どう感じたかー。転勤族である豊橋市浜道町の会社員佐藤和博さん(52)、ゆかりさん(58)夫婦は2日、東三河を中心に開かれた農業イベント「オープンファーム」(OF)に参加する生産者の農園3カ所を回った。東日新聞は2人の後を追い、その理由を探った。

 ■微妙な酸味

 初めに訪れたのは、主催するOF実行委員会の尾崎幹憲委員長が社長を務め、豊橋市細谷町でコチョウランの生産販売を手掛ける「リーフ」。佐藤さん夫婦は、ハウス内に並べられた特価販売の鉢植えのコチョウランを手に取り、白、ピンク、白にピンクが混ざった3個を安く買い、遊休地を利用した畑でイモ植え体験を楽しんだ。「コチョウランは高価なものと思っていたが、手ごろな値段だったので身近に感じられた」と喜んだ。

 市では、コチョウランを推定で年間約180万株を生産し全国の約20%を占める日本一の生産地(リーフ調べ)で、その中核になるのがリーフ。「生産地であると知っていたが、こんなにたくさん作っているとは知らなかった」と驚いていた。

 お目当ては、リーフの近くで主に中玉トマトを生産する「めぐりとまと」。前回の昨年11月に初めて来て、トマトのおいしさに感動したほどだ。その味が忘れられずその後も、味は変わらないものの形や柔らかさなどで出荷できない規格外のトマトを求め、足を運ぶ常連客だ。

 フルーティーな香りが漂う約30㌃のハウスで、養液栽培されている中玉トマトを摘み取り、容器いっぱいに入れた。ゆかりさんはそのうちの1個を口に入れ、「甘味の中に絶妙な酸味があり、おいしい」と笑顔を見せた。さらに伊藤充治社長からパートの労務管理や農作業を機械化していると説明を受け、感心していた。

 2人が最後に訪れたのが、ブルーベリー狩りが楽しめる豊川市平井町の「Hatake the Niwa」。造園会社の庭安造園の農業部門だ。約20㌃の畑に鉢植えされたブルーベリーを収穫し、味わっていた。

 ■情報誌で知る

 和博さんは、ゆかりさんとともに昨年秋に岐阜から転勤した。豊橋市の情報誌でOFが紹介されていたことを知り、前回初めてOFに参加する農園を訪れており、今回が2回目となった。この日の農園巡りを振り返り、「見たところはいずれも環境が整備され、これまでの『きつい』、『汚い』、『危険』の『3K』と呼ばれる農業のイメージを一新させた。維持管理は大変だが、これからの農業はつくるだけでなく、販売も必要ではないか」と思った。

 OF実行委の伴和樹事務局長は「この意見を踏まえ、さらに来場者と農業の接点を増やしていきたい」と話した。

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