林商店が商工会の経営支援生かし商品開発/設楽
2024/09/14
狭石さん、林社長と弟の林宏成専務(左から、豊根村で)
創業65年を迎えた豊根村の漬物店「林商店」(会社名・ハヤシ)で、金山寺味噌フランク(金山寺フランク)などのソーセージ製品が、事業の新たな柱に成長した。新型コロナウイルス禍をきっかけに商工会の経営支援を受け、商品開発やインターネット販売に取り組んだことが成果につながった。
林商店の主力商品は、創業時から作り続ける「田舎きんざんじ」。自社農園で育てた無農薬のナス、ウリやショウガを使い、ほんのり甘い昔懐かしい味が人気を博す。
ただ、3代目の林良至(よしむね)社長(47)は「食べる機会がない若い人には知られていない」と先行きに不安を感じていた。
そこで考えたのが、金山寺みそを混ぜ込み、風味を生かしたソーセージだ。物産展などで試行的に販売し、若者への浸透を図った。しかし、2020年以降の新型コロナ禍で対面販売が難しくなり、作戦が行き詰まる。
この状況を見て、豊根村商工会で経営指導員を務める狭石(せまいし)真則さん(42)が動いた。
口コミ頼みだった販売を改めるべく、ネットやリーフレットの活用を提案。合わせて、ソーセージの本格的な商品化を支援した。資金面では新型コロナ関連の持続化補助金などの申請を手伝った。
林商店は翌21年6月、金山寺フランクなどを正式に発売するとともに、ウェブサイトの運用と通信販売を開始。
意外性のある新商品はすぐにテレビで取り上げられ、売れ行きが一気に加速した。
ソーセージ製品は金山寺みそ以外に、バジル、青ジソを使ったものなど20種類ほどをそろえる。今では東三河各地の道の駅などにも並び、会社の売り上げの半分程度を占めている。
林社長は商工会の支援に感謝しつつ、「フランクをきっかけに、金山寺みそも試してもらえれば。食べればおいしさが分かる」と期待する。狭石さんは「ここまで人気が出て、私としてもありがたい」と話す。
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狭石さんは今月2日、名古屋市であった県商工会連合会の経営支援事例発表大会に出場。林商店の取り組みを紹介し、最優秀賞に輝いた。来月には、三重県で開かれる中部ブロック大会で発表を行う。