学習発表会で栄小6年生が劇披露/平和への誓い―子どもから教えられる
2025/02/25
栄小6年が演じた劇「未来につなぐ命の絆」の一場面(提供)
心を打たれた。見ごたえ十分。涙も出た―。豊橋ユネスコ協会の「軍都・豊橋」の歴史から平和を考える「出前授業」をきっかけに、豊橋市立栄小学校の6年生が学んだことを劇で演じることに発展し学習発表会で披露した。参観した親は戦争体験がなく、子どもから教えられた「逆学習」に感動。協会は「素晴らしい成果」と絶賛した。
■栄える街
栄小は、愛知大学豊橋校舎の南側にあり戦前、戦中に陸軍第15師団の兵器を保管する兵器支廠(ししょう)が存在したところ。近くに軍用鉄道として利用した渥美線から兵器支廠への引き込み線跡や航空燃料の不足を松ヤニで代用するために採った採取跡などが残っている。
6年生127人は、協会から昨年10月に出前授業で軍都・豊橋を学習し、その11月に15師団の中核機関が残る愛大で戦争遺跡を見学したことで、校区内の戦争を含む「出来事」に関心が高まった。この成果を劇に表し学習発表会で発表するため、学校が作った台本で練習を重ねていた。
発表会は8日にあり、「未来につなぐ命の絆(きずな)~栄校区に残る平和への誓い~」をテーマで約30分の劇が始まった。今の豊橋公園に配置された第18聯隊(れんたい)と15師団で兵士が訓練する様子や軍の御用達の店を取り上げ、豊橋空襲で家族を亡くした悲しい場面も紹介。最後に戦後に誕生した母校には、栄える街となり平和に暮らそうとの願いが込められていると結んだ。
参観後、ある親は「子どもの迫力の演技に心を打たれた。戦争や平和を学び、考えてきたことが伝わった」と感激。別の親は「戦争と平和に考えさせられ、涙した」とたたえた。親の一人は「劇に群読を交え表現され、見ごたえがあった」と評価した。
■新しい動き
昨年も6年生が、協会の出前授業を受けた後、戦時中の暮らしぶりにスポットを当てた「火垂るの墓(ほたるのはか)の劇を演じている。協会の渡邉正会長は「親が子どもから学ぶという新しい動きに感心させられた。他の学校に波及すれば」と期待を寄せた。
尾崎美智雄校長は「子どもたちが戦争の歴史や遺跡を知ることで平和の尊さやふるさとを大切にすることにつながる。出前授業はその一歩」と受け止めている。