ほんのり赤らむ豊根村の自生地
2025/04/12
深紅に色付いたハナノキの花(豊根村で)
愛知県の木に選定されているハナノキが、北設楽郡の各地で花の時期を迎えた。豊根村坂宇場御所平にある自生地を11日に訪ねると、枝先の至る所で小さな花が深紅に色付き、木全体がほんのり赤らんでいた。
ハナノキは、カエデなどと同じムクロジ科に属する落葉広葉樹。他の仲間と違って葉が出る前に開花する。
山間部の湿地を好み、長野、岐阜、愛知の県境付近など中部地方にのみ自生。高さ30メートルほどにまで育つ。
このうち豊根村の自生地は茶臼山の麓にあり、標高900メートル弱。川宇連神社の境内などに10本程度が残り、国の天然記念物に指定されている。
すぐ脇には、後醍醐天皇の孫とされる尹良(ゆきよし)親王の巨大な銅像が立つ。南北朝の動乱期にこの地にとう留し、突き刺した箸が根付いてハナノキになったという伝説もあるそうだ。
近くで旅館「清水館」を営む石田喜章さん(70)は「歴史的ないわれがある木で、天然記念物でもあるので、ぜひ見に来てもらえれば」と話している。