過去に人が死亡する痛ましい事故も/奥三河
2025/06/04
足場の悪い斜面もさっと駆け上がる(2023年5月、設楽町で)
名古屋市名東区の住宅街で国の特別天然記念物のニホンカモシカが捕獲され話題となっているが、奥三河だとカモシカに遭遇することは珍しくない。5年前には新城市で、わなにかかったカモシカに人が襲われて死亡する痛ましい事故が起きた。もし見かけたら、興奮させないようにそっと離れるのがよさそうだ。
カモシカは「シカ」と名付けられているものの、ウシ科に属す。山岳地帯にすみ、木の芽や皮などを餌とする。
奥三河では人の生活圏にまでしばしば現れ、山中の道路脇などにたたずんでいることがある。目が合ってもすぐには逃げず、しばらく見返してくる習性があるようだ。
ずんぐりした姿はかわいらしいが、シカなどと同じく農林業に被害を与える厄介な存在だ。県の資料によると、県内の推定生息数は徐々に増え、2020年度は1200頭余りだった。
新城市内では20年10月、シカ猟のわなにかかったカモシカを逃がそうとした男性が、太ももに傷を負って死亡した。角で刺されたとみられる。
同市農業課の担当者は「もしカモシカを見つけても近付かず、驚かせないよう静かにその場を離れてほしい。放っておけば人を襲う危険性は小さい」と話す。
カモシカは、豊橋市の豊橋総合動植物公園(のんほいパーク)でも出合える。2頭いるうち雌の「アサヒ」は17年5月、尾張旭市で保護され、同公園に引き取られた。