GPSやQRサービスの利用勧める/豊橋署など
2025/12/12

GPS製品などを紹介する、橘副署長㊧と長坂さん(豊橋署で)
認知症の高齢者が自宅から不明となる事態が続いているとして、豊橋署と東三河広域連合は対策を進めている。気温が低下し、長時間にわたる徘徊(はいかい)や迷子になる状況が命に関わる事態となることを懸念する。GPS機能やQRコード付き製品の利用を勧めており「寒さが増して危険性が増している。対策を考えていただきたい」と呼びかけている。
◆保護が多発
豊橋署によると、今年1月から11月末までに、徘徊や迷子となった高齢者を計325人保護した。さらに寒さが増す年末年始に向け、署は低体温症による重篤な状況や事故などに遭遇する事態を危惧する。
認知症のある人は、土地勘のない場所まで長距離移動することもあり、所在不明が判明してから早期の対応が重要となる。豊橋署の橘英樹副署長は「ご家族は分かった時点でためらわずに通報していただきたい」と話す。
外見から症状は把握しづらく、一定の会話も成り立つため「声をかけて良いのかわからない」と迷う市民もいるという。そのため署や広域連合は、GPS機能とQRコードを用いたサービスの利用を推奨する。現在地を把握できるGPSを内蔵した靴や、「QRコード付きシール」などの対策品の有効性を強調している。
QRコード付きシールは発見者にバーコードを撮影してもらうと、保護した地点や高齢者の症状など各情報が家族に届く。シールに気付いた市民が声をかけやすくなるメリットも見込まれる。
橘副署長は「ご家族や介護、福祉事業に携わる方は製品やサービスの利用を検討してほしい」と話している。
◆高齢化が進行
広域連合によると、今年10月1日時点で東三河の高齢者人口は20万8284人で高齢化率は約28%。そのうち後期高齢者は12万1732人となっている。
広域連合介護保険課では、GPSなどを用いた製品購入に関する助成を実施中。東三河在住で認知症のある40歳以上の人を介護している家族が対象で、最大1万円を補助する。
徘徊に苦労する家族は多く、本人は無意識で周囲を移動する。今後も高齢化は進むとみられ、本人と家族、捜索に向かう者など関わる人たちの手助けとなる各サービスの普及が望まれる。
同課の長坂裕子さんは「正式に認知症の診断を受けていなくても相談を受け付ける。気軽に問い合わせてほしい」と利用を呼びかける。
問い合わせは同課=電話0532(26)8472=へ。