自動運転バス実証実験 接触事故検証終え豊川市/実用化への課題克服に意欲
2025/12/12

自動精算機の屋根に接触した自動運転 バス(10日午後1時40分ごろ、イオンモール豊川で)
豊川市は11日、接触事故で運休した自動運転バスの実証実験について、事故原因の検証を終えて安全運行の確認ができたため、12日から再開すると発表した。ハードルは高いが、市は今回の貴重な経験を糧に実用化を目指す。
事故は10日午後1時40分ごろ、イオンモール豊川のバス停を出発する際に起きた。駐車場の自動精算機を通過する際、車体の右前頭部についたセンサーカメラが雨よけの屋根に接触。試乗していた関係者にけがはなく、屋根や車体の修復の必要はないという。
アクセルやブレーキ、ハンドル操作などが自動で、必要に応じて運転手が操作するレベル2の運行で、事故当時は自動運転中だった。
市は警察にも届け出て原因を調べた結果、電源を入れる際にハンドル初期設定が必要だが、10日午後の試走時には実施していなかったという。今後はスタッフ2人以上で初期設定の完了を確認し、期間を1日延長し27日まで運行する。
今回の実証実験は委託先のNTTドコモビジネスが運行し、東海理化が提供する遠隔監視システムを活用している。運転手が不足している背景から、同様の実証実験は近年、全国の自治体で行われ、昨年度は豊橋市と岡崎市でも実施された。
ただ、走行中に路上駐車の車両や雑草を障害物と判断して頻繁に自動停止したり、低速運行のため一般車両の交通に影響を与えたりするなど課題が多く、運転手を必要としないレベル4で実用化した自治体はない。
豊川市では初日から運休する異例の事態となったが、都市整備部市街地整備課の本多隆志課長は「実用化に向けて課題を克服していくことが重要」と話している。