教えて!乳がんのこと 

副作用より利点高いホルモン治療

読者からの質疑応答=(豊橋医療センター/岡本喜一郎)

2013/10/25

岡本喜一郎先生

質問/今年1月に手術をしました。現在ホルモン治療中です。今のところ目立った副作用はありませんが、今後ホルモン治療による何かしらの影響があるのか?気になります。(豊橋市東幸町、T・Aさんより)

回答/今回の質問は乳がん治療中のホルモン療法の副作用について答えさせていただきます。

 乳がん細胞には女性ホルモンと強く関わり、女性ホルモンにくっつき育っている細胞があります。そのために女性ホルモンを遮断する作用のある疑似薬が「抗ホルモン薬」です。手術材料でエストロゲンおよびプロゲストゲンレセプターを測定し、陽性のものが約70%あり、これが女性ホルモン陽性乳がんです。

 「抗ホルモン薬」は通常のホルモン剤とは種類が異なります。「抗ホルモン薬」は体を閉経状態にすることが目的ですので、急に更年期障害が出たような状態になることがあります。「抗ホルモン薬」の代表的副作用で、頭痛、だるさ、ほてり、熱感、抑うつ症状などの更年期症状が主です。飲み始めの時期はいろいろな症状でつらいですが、ずっと続くことは少ないです。更年期障害のように
次第に軽くなります。

 一般的に「抗ホルモン薬」を使用できる乳がんは、再発・転移の少ない予後の良いタイプといわれています。5年間の内服が標準となっています。乳がんの再発を防止することと、薬の副作用と戦う部分がありますが、それ以上に服用するメリットが高いです。

 抗ホルモン剤は、タモキシフェンに加え、アロマターゼ阻害薬と呼ばれる閉経後乳がんに使用されるアナストロゾール、エキセメスタン、レトロゾールなどの薬剤もあります。閉経前乳がんには、視床下部に働いて、生理を止めるリュープロレリンおよびゴセレリンといった注射をタモキシフェンとともに使用します。

 それぞれの薬剤におもに更年期症状を中心とした副作用が起きますが、医学の進歩とともに薬剤の種類も増え、乳がんの予後も改善してきています。副作用で困ったことがあれば、気がねなく、かかりつけの病院の主治医に相談してください。適切にアドバイスしていただけると思います。

2013/10/25 のニュース

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