協議相手決定 「魅力的な提案」も課題山積

豊橋市の新アリーナ建設計画

2018/11/25

 豊橋市の豊橋公園への多目的屋内施設(新アリーナ)の建設計画をめぐり、市は9月、協議相手をゼビオホールディンングス子会社のクロススポーツマーケティング(XSM、東京都)に決めたことで、XSMの提案を「魅力的」と受け止め、建設に向け一歩前進した格好だ。しかし、議会側から管理、運営上の問題や豊橋公園の再整備計画への影響などが指摘された。駐車場難やアクセスの不便さが加わり、風致地区で建築制限もあるなど課題が山積する。市は今年度中の議会承認を目指すが、議会や市民に理解が得られるだろうか―。

民間事業者で80億円の経費削減効果/豊橋公園の再整備計画に影響/管理・運営で不備も

 ■市負担61億円
 市は、新アリーナの整備や運営を民間のノウハウや資金力を活用するための公募を実施。XSMの1社が応募し、提案した。

 提案によると、XSM側が新アリーナの建設費50億円、30年間の更新・修繕費30億円と運営費の30億円を負担。市は30年間で使用料60億円を支払い、更新・修繕費1億円を負担する内容だ。

 市は10月16日、市議会総務・建設消防委員会の連合審査で、「30年で141億円が必要なところ61億円で済み、80億円の経費節減効果がある。魅力的だ」と説明した。

 市議の中には、市総合体育館やアクアリーナ豊橋などの建設・維持費と比較し「市の支出が抑えられている」と評価する意見があった。

 一方で、提案は1社しかなかったことから「市の負担は本当に最小限になったのか」と疑問を投げかける市議もいた。

 ■使用料の矛盾
 提案では、XSMの負担で建設したアリーナを市に「無償譲渡」する代わり、市は年間の利用料をXSMに支払う運営形態を取る。譲渡は、公園が国からの無償借地で、営利事業を制限する法規制や契約をクリアするためとみられる。ただ、この形態では「市有」となったアリーナの「使用料」を支払うという矛盾が生じる。また、市の公募要項で想定していた指定管理者制が提案にはなかった。

 豊田一雄市議(自民党)は「理解しにくい」「指定管理者以外に方法はあるのか」と説明を求めた。市は「検討する」「協議する」と繰り返すだけ。具体的な回答はなく、新アリーナの管理、運営の不備が浮上した。

 ■アリーナ優先
 市が2015年、おおむね5年先を見据えた豊橋公園の整備と方向性を示した再整備計画がある。新アリーナが建設されると、計画されているテニスコートの場所と重なり、再配置や面数削減の可能性が出て来る。並木のプロムナードや児童遊園、ジョギングコースなど公園施設の配置や広さにも影響が及びそうだ。

 XSMによると、新アリーナの競技スペースの広さは64メートル×35メートルで、約5000席を備える。アイスリンクの上に床を設置し、バレーボールやバスケットのほか、イベントなどの利用も可能だ。

 ただ、武道場としての利用も想定されたサブアリーナの提案はないうえ、アクアリーナ豊橋にあるアイスリンクとの使い分けも未定だ。市は、市民からの要望も多い他のスポーツ施設整備も含め、「新アリーナの機能を検討し、その後、公園計画を見直す」方針を示した。

 ■駐車場不足
 再整備計画では公園内に約400台の駐車場の確保が示されていた。近藤喜典市議(自民党)は「明らかに足りない」との指摘に、市は「総合的に判断する」とした。

 また、豊橋駅から新アリーナの建設予定地まで約1・3㌔。近藤市議は「遠い。回遊性というのは理想だ。駅から歩くだろうか」とアクセスの不便さを突いた。

 しかも、自動車での出入りは1カ所だけ。駐車場があっても、イベント終了時に車や人で周辺の渋滞や混雑を懸念する意見が出た。住民からも心配する声が上がっており、重要な検討課題となった。

 公園は風致地区。建築規制もあり、新アリーナ級の建物の建設は難しい。住環境を害する恐れへの対応や公益性の担保をすることで例外的に建設も可能だが、こうした点をクリアする対策も課題だ。

 市は現在、「多目的屋内施設を核としたまちづくり基本計画」と「豊橋公園施設の再配置計画」を策定している。並行する形でXSMとの詳細協議を進め、年度内に基本協定を結び、議会の承認を得たい意向だ。

 しかし、提案を審査した有識者の委員会からも、13項目の意見が付けられている。議会からも「ハードルは高い」「急がない方が良い」と慎重論は少なくない。「市民ニーズはあるのか」「誰のためのアリーナか」と〝そもそも論〟もくすぶっている。

 市は21年9月の供用開始を目指すが、検討課題は多く、難航も予想されそうだ。

2018/11/25 のニュース

各種スポーツができる新アリーナのイメージ(豊橋市提供)

XSMが提案したアリーナ建設の事業概要

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