「オープンファーム」昨年と一昨年比較/豊橋市の実行委「農業経営に生かせる」/生産者増やし混雑解消目指す
2025/02/04
人気の生産者の農園前には長い列ができた(豊橋市内で、提供)
新鮮な農産物の直売や収穫体験、交流の「3拍子」そろった生産者に人気が集まり、着実に来場者は増えた―。東三河を中心に繰り広げられる農業イベント「オープンファーム」(OF)を主催する豊橋市のOF実行委員会が晴天の下の昨年と一昨年の11月に開いたOFの来場者のアンケート結果を比べたところ、こんな傾向がうかがわれた。実行委は「つくった農産物に他の要素を加えることで売り上げ増につながるのでは」とOFが農業経営に生かせると分析する。
■300人超6カ所
昨年11月のOFは8回目。満足度について一昨年11月の6回目と同様に来場者のうち50人以上が「大いに満足」と歓迎した。その理由として「おいしい、新鮮」などを挙げた。
直売価格は「安くて満足」が49人と最も多かった。6回目から1人増えた。「お値打ち、お得」と答えた人が目立ち、季節野菜などが値上がりした時期だけに、割安に感じたようだ。
生産者との交流が貴重と答えた人は、6回目より多かった。「生産者の思いを知ることができた」「苦労、努力を教えてもらった」と現場で学んだことが大きかったようだ。
ともに晴天に恵まれ、来場者は8回目で最多の約7000人で、6回目から約1400人増えた。このうち300人以上が6カ所で6回目から1カ所増え、「1000人超え」も2カ所。直売など3拍子そろったところが3カ所、2回とも名前を連ねたところが4カ所あり、人気の生産者らに集まる傾向がみられた。
その反動で入場規制に踏み切った生産者もあり、「予約が多く入れなかった」「予約者優先で人気の生産者(が経営する農園)に入れず残念」と来場者の声に表れた。こうした中で複数の農場を巡った人が39人と6回目の51人から12人少なくなり、1カ所を回る人が急増した。実行委は「来場者が生産者を選択したか、同じ日に複数の大きなイベントが近隣であり流れたか、見極める必要がある」と課題も残った。
■もうかる農業
OFは6回、8回ともに東三河の47の生産者らを中心に参加し33カ所で開かれた。実行委はその後、スマートフォンで来場者にアンケート調査を実施し、どちらも64人が回答を寄せた。併せて生産者らも調査した。
農業は、後継者難や肥料、資材などの高騰も加わり厳しい状況にある。しかし、実行委の伴和樹事務局長は「人気の生産者は着実に来場者数を伸ばしている。これを生かし、『もうかる農業』を実践できるのではないか」との見方をする。
そのうえで6月1日の次回に向け、「参加する新たな生産者を増やし、混雑する生産者から他の生産者に誘導できる体制をつくり、さらに来場者を増やしたい」と意欲を燃やす。
来場者が開放された農場を巡り、農産物の収穫体験や直売を楽しむ農業イベント。主催する豊橋市のOF実行委員会が2020年11月から始めた。昨年11月の8回目で47の生産者らが参加し、最多の延べ約7000人が来場した。