県が審査申し立てを棄却

豊橋/新アリーナ契約解除に議決求める条例/「法令に違反するとまではいえない」と指摘

2025/04/01

新アリーナ計画に伴う工事を表記した看板(豊橋公園で)

 豊橋市の多目的屋内施設(新アリーナ)計画の契約を含め、市議会の議決を経て結ばれた契約の解除にも議決を必要とする条例の一部改正について、愛知県は3月31日、条例改正の取り消しを求め長坂尚登市長から大村秀章知事に出された審査申し立てを棄却した。今後は法廷闘争に発展するかどうかが焦点となる。

 県が公表した裁定では、条例改正が地方自治法などの「法令に違反するとまではいえない」と指摘。その根拠として、議決を経た契約の解除を議決事項として条例で定めることを否定するとは法令などに明文化されておらず、司法の直接的な判断も示されていないことを挙げた。

 また、適正な審理や手続きで条例案が議決されたとして裁量権の「逸脱」や「濫用」があったとまではいえないと結論付けた。

 裁定の中では、市長と議会の双方について二元代表制のもと「自らの権限と責任のみを主張することなく、互いの権限と責任にも配慮しつつ、意見の調整を図ることに最大限努める責務がある」とした。

 長坂市長は、大村知事の裁定を受け「本市の主張が認められず残念です。内容を精査し、今後の対応を検討してまいります」とコメントした。裁定に不服がある場合、提訴することができる。

 条例改正を主導した自民党市議団の山本賢太郎政調会長は取材に対し「我々の主張や提起したことが認められ、ほっとしている」と裁定の感想を話した。長坂市長には提訴しないよう求め「再度議論し、一定の方向をつけられたら」と期待した。

 自民など新アリーナ計画の推進派市議らが昨年12月議会で提案し可決された条例改正を巡っては、計画中止に向け契約解除の手続きを進める長坂市長が1月、「議会の権限を越え、法令に違反する」などとして、議会に審議のやり直しを求める「再議」を申し立てたが、同月の臨時議会で再び可決された。

 長坂市長は2月、条例改正の議決取り消しを求め大村知事に地方自治法に基づく審査を申し立てた。これを受け、県が任命した大学教授と弁護士からなる自治紛争処理委員が、議決を取り消すか申し立てを棄却するかを審査した。

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