探偵小説家の大阪圭吉を紹介

第114回文化講座/奥三河ふるさとガイドの高田孝典さん講演

2025/05/22

同人誌の資料を手に大阪を語る高田さん(新城市平井のJA愛知東本店で)

 JA愛知東主催の第114回文化講座が20日、新城市平井のJA愛知東本店で開催され、奥三河ふるさとガイドの高田孝典さん(75)が没後80年となる新城出身の探偵小説家、大阪圭吉(本名・鈴木福太郎)について集まった82人を前に講演した。

没後80年、新城出身者の生き方を語る

 大阪圭吉は、同市町並生まれで1945(昭和20)年に戦禍のルソン島にて33歳で亡くなるまでに、150編ほどの小説を発表し、「死の快走船」「香水婦人」「ここに家郷あり」などの単行本を発行した。

 高田さんは、大阪について30年ほど研究しており、経歴や生き様を単行本、同人誌、自筆原稿・メモのコピーなどを手にしながら語った。

 初めての探偵小説集「死の快走船」には江戸川乱歩の巻頭の言葉が寄せられており、「大阪君の作風は、短編探偵小説の純粋正統を受け継ぐものである」「その興味と情熱の純粋性においては、探偵文壇に比類なしと云っても過言ではないだろう」と称賛している。

 「とむらい機関車」は、JR飯田線の新城駅と東新町駅の間にある踏切をもとに構想を練ったと言われる。高田さんは「個人的には、代表作を一つ選ぶとすればこの作品」と話す。

 大阪は中央文壇と関わりながら、ほとんどの作品を市内の自宅で書き、地元との付き合いを大切にした。24歳から2年間、新城町役場にも勤務した。高田さんは「まちづくりに思いの強かった大阪は、もし戦後生きていれば、政治家などとして地元に密着した生き方をしていたのではないか」と語った。

 講座に訪れた大阪の孫、鈴木一平さん(52)は「祖母から話を聞くことはあったが、こうして紹介していただき、改めて誇らしく思った」と感謝した。

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