表浜海岸にドローンを飛ばして巡視
2025/07/31
津波への警戒を確認した災害対策本部員会議(豊橋市役所で)
30日に太平洋沿岸を中心に津波警報が発令されたことを受け、太平洋と三河湾に面する豊橋市は津波への警戒にあたった。同日午後5時時点でけが人などの報告はないという。
市が立ち上げた災害対策本部の会議には、市の幹部のほか陸上自衛隊の関係者も出席。名古屋地方気象台とオンラインでつなぎ、状況を確認した。
市によると、ドローン(小型無人機)を運用するドローン飛行隊「レッド・ゴブリンズ」は、太平洋を望む表浜海岸にドローンを飛ばして巡視を行った。
海岸付近でパラグライダーをしていた人にも注意喚起を行ったという。
太平洋と三河湾に近い計13カ所の校区市民館や生涯学習センターに開設した避難所には、同日午後1時の時点で55人が避難し、同5時時点でも10人が身を寄せていた。
同市消防団の小沢分団は、津波警報を受けて海沿いで警戒活動を実施。住民などに避難を呼びかけた。校区内の表浜海岸へ車両が向かわないよう、国道42号からの進入地点へ「立入禁止」の看板を設置。海岸では「海から離れて下さい」などと広報しながら巡回した。
平日午前に発生した警報だったが、団員6人が集結して活動。海岸の利用者は少なく、大きな混乱はなかったという。
8月の盆前後には、海岸でサーフィンやバーベキューを楽しむ利用者が増えると想定される。市外や県外からの来訪者に向け、団員は「表浜海岸は津波が来る危険性があると知って、マナーを守って楽しんでもらいたい」と話した。
津波注意報が発令された豊川市では、避難所は開設されなかったが、三河湾に面する旧宝飯郡の御津や小坂井地区では安全な場所に自主避難する人がみられた。小坂井バイパスでは、三河湾方面から市中心部へ向かう車で渋滞が発生した。
御津町の御馬漁港では防潮扉が閉められた。近くに住む女性は「台風が近づいた時にはよく閉められることはあるが、津波で閉められたことは記憶にない」と話した。
市は防災センターに災害対策本部を設置し、情報収集にあたっている。
30日午前9時40分に津波注意報が発表された三河湾沿岸の蒲郡市では、西浦町のパームビーチが遊泳禁止になった。
近くの温泉旅館では、チェックアウトを終えた客らが正午を過ぎても館内で待機していた。豊田市から小学3年生の長男と訪れた40代のパート女性は「温泉に入った後、海で遊ぶ予定でしたが、お昼を食べたら帰ります」と残念そうだった。
市によると、同市沖の無人島・三河大島では、観光客ら40人が午前11時半までに島を離れた。
田原市は、午前9時40分の愛知県外海への津波警報発表に伴い、太平洋岸の伊良湖、堀切、和地の3校区と池尻町の住民に避難指示を出した。
該当地域の市民館や伊良湖岬小学校、渥美運動公園体育館に避難所を開設。防災行政無線や防災メールなどで伝え、住民らが避難所を訪れた。
また、太平洋岸への道路の入り口は入れないよう措置を講じた。
一方、かき入れ時の伊良湖海水浴場(ココナッツビーチ伊良湖)や、三河湾に面した白谷海水浴場は警報発表後、営業を取りやめた。
伊良湖の宿泊施設関係者によると、観光地の伊良湖岬・恋路ヶ浜は「午前10時半ごろ、観光客の姿はほとんどなかった」と状況を説明し、「幸い平日の真ん中で宿泊には影響がなかった。海水浴場や飲食関係は打撃です」と話した。
また、伊良湖と三重・鳥羽を結ぶ伊勢湾フェリーは、運航を見合わせた。