AIロボ 柿畑を走る

来る「スマート農業」の未来に高まる期待/現場で好評価 開発スタートアップも手応え

2025/11/07

アダムの荷台で柿の実を選果する作業(豊橋市石巻萩平町で)

 のどかな里山が広がる豊橋市北部の柿畑を、AI(人工知能)を搭載した台車型のロボットが人の後について自走する。今はまだ見慣れないこの光景は、来るべき「スマート農業」の未来を映し出している。

 5日、同市石巻萩平町にある柿農園「ベル・ファーム」の圃場(ほじょう)で、電動の自律走行AIロボ「Adam(アダム)」による収穫補助の実証実験が関係者に公開された。

 愛知県やJA豊橋の担当者が見守る中、実験では木々の枝から数人がかりで摘み取った朱色の実をアダムの荷台で選果し、かごに収める作業を繰り返した。最後に、内蔵されたカメラで認識して後を追いかける機能を使って、いくつものかごを荷台に載せたアダムを人が先導して搬出用のトラックまで柿を運んだ。

 このやり方と、柿を手押しの運搬用一輪車に載せて木と選果する場所の間を何往復もする従来の方法とを比較した。200キロを収穫するのにかかった時間はアダム使用時が37分で、従来の時より3分短くなったことに同農園の鈴木義弘代表は「約1割の時間短縮は大きい」と評価。手押し一輪車で運ぶ手間が省け「体が楽だ」とも指摘した。

 アダムを開発した東北大学発のスタートアップ「輝翠(きすい)」の髙橋司セールスマネージャーは「ポジティブな意見をもらえて良かった。労力を軽減できた」と手応えを語った。担い手不足が進む中、テクノロジーを活用したスマート農業の導入で「日本の農業を少しでも助けられたら」と期待を込めた。

 同社は、農業課題の解決に先進技術で挑む市主催のアグリテックコンテストで、2023年度に入賞した。市の支援を受け、市内でアダムの実証を重ねている。

 マルシメ(豊橋市下五井町)はアダムを1台購入し、今年シェアリングサービスを始めた。

2025/11/07 のニュース

アダムの荷台で柿の実を選果する作業(豊橋市石巻萩平町で)

有料会員募集

今日の誌面

有料会員募集

きらり東三河サイト

高校生のための東三河企業情報サイト

連載コーナー

ピックアップ

Copyright © TONICHI NEWS. All rights reserved.

PAGE TOP